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「プロパー融資」と「信用保証協会付き融資」の違いと、移行のベストタイミングとは?~中小企業が金融機関と信頼関係を築くための融資戦略~

  • yusukekondo9
  • 6月24日
  • 読了時間: 4分

はじめに


創業から数年、売上も黒字も安定してきた段階でも金融機関から保証付きの融資提案しか来ないということはありませんか?

金融機関が取り扱うプロパー融資と保証付き融資には明確な違いがあり、どちらで借りるかの判断には戦略が必要です。

この記事では、両者の違いと実務上のメリット・デメリット、そしてどのタイミングで“プロパーへ移行”すべきかを税理士の立場から詳しく解説します。



1. 用語の確認:「プロパー融資」と「保証協会付き融資」の違い

項目

プロパー融資

信用保証協会付き融資

貸主のリスク負担

金融機関が100%負担

保証協会が保証(最大80~100%)

審査主体

金融機関単独

金融機関+保証協会

金利

やや高めになる傾向あり

やや低めだが保証料が別途発生

審査スピード

比較的早い

保証協会との調整で時間を要する

財務要件

高い自己資本や利益が必要

利益・実績が不安定でも通りやすい

主な対象

中堅以上の優良企業

創業期~成長途中の中小企業

📌「プロパー=銀行単独の責任で貸す融資」=信用の証でもあります。


※ 借手が返済不能となった場合、保証協会が金融機関に代位弁済してくれますが、借手の債務が免責されるわけではありません。債権者が保証協会に代わり、借手は保証協会に引き続き返済する必要があります。



2. なぜ金融機関はプロパー融資を重視するのか?


金融機関にとって、プロパー融資を出せる企業は以下のような位置づけです。

「信用リスクを取っても大丈夫な企業」

⬆ 「保証協会を通さずとも継続的な返済が見込める」

⬆ 「メインバンクとして長期的な取引を深めたい顧客」


📌 銀行内部でも「プロパーを出せる=格付けの高い優良顧客」と認識されます。このため、プロパーへの移行は“企業の信用格上げ”でもあるのです。



3. 保証付き融資のままでいるリスクとは?


❌ 保証枠を圧迫する

→ 無担保枠(最大8,000万円など)が埋まってしまうと、新たな借入が困難に

❌ 審査の手間と時間がかかる

→ 保証協会とのやり取り、書類の二重チェックが必要

❌ 金融機関から“育っていない”と見なされる

→ ずっと保証付き=「信用が足りない」と見られる恐れも


📝 一定規模以上の企業がいつまでも保証協会付きに頼っていると、「自立できていない」と見なされる場合もあります。



4. プロパー融資へ移行すべきタイミングと条件


✅ 金融機関が「貴社への理解と評価」を深めていること

→ 目安:取引開始から2年以上、定期的な報告(決算書、試算表)を継続して提出している

✅ 毎年安定した黒字・資金繰りがあること

→ 目安:2期以上の連続黒字、営業CFプラスが継続

✅ 自己資本比率が20%以上、流動比率が150%以上

→ 財務健全性が評価されやすいライン

✅ 他の銀行・信金でプロパー実績がある

→ 他行の信頼=自行でも出せると判断されやすい


📌 プロパー移行のタイミングは、決算直後や成長投資前の資金調達時が狙い目です。



5. 実務における「移行の進め方」

ステップ

内容

① 顧問税理士と月次試算表・資金繰り表を整備

金融機関に提出する資料の信頼度を高める

② 現在の保証付き融資の残高と枠を確認

保証協会枠の消化状況を把握

③ メインバンクに「プロパー移行」意向を相談

条件付きプロパーや一部保証併用も可能

④ 金融機関が提示する条件(担保・金利)を整理

交渉のポイントを明確にしてから申請



6. 移行する際の注意点


  • ✅ 金利は若干高くなる傾向がある(信用料に相当)

  • ✅ 融資限度額が銀行ごとに変わる(格付け・業種で変動)

  • ✅ 一部だけプロパー、残りは保証付きで併用する“ハイブリッド型”もあり


📌 “全部をプロパーにする必要はない”という柔軟な視点も重要です。



7. まとめ:プロパー移行は「資金調達力向上の通過点」


信用保証協会付き融資は、創業期・成長初期には強力な味方です。しかし、プロパー融資への移行は、企業の「信用力」「経営力」「財務体質」が整った証明にもなり、金融機関との長期的な信頼構築に不可欠なステップです。



✅ 経営者へのアドバイス


  • まずは「1行目のプロパー融資獲得」を目指す

  • 保証協会付き融資の残高を“減らす意識”で資金戦略を設計

  • 顧問税理士と連携して、試算表・資金繰り・設備投資計画をセットで整える

“信用を借りる時代”から“自社の信用で借りる時代”へ。資金調達の質を一段階上げる準備を始めましょう。

 
 
 

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