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「売上はあるのにお金が残らない」経営者が見直すべきポイント

  • yusukekondo9
  • 4月4日
  • 読了時間: 4分

1. はじめに


「売上は順調に伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない」──多くの経営者が抱える共通の悩みです。この問題は、企業が成長フェーズにある時ほど顕著になり、最悪の場合、黒字倒産を引き起こす原因にもなります。

この記事では、売上があるのに資金が残らない原因を洗い出し、改善すべき財務・経営の視点を体系的に解説します。



2. 売上とお金のギャップが生まれるメカニズム


✅ 利益とキャッシュフローは別物

  • 会計上の「利益」はあくまで計算上のもの。実際の入出金とは一致しない

  • 売掛金や在庫、減価償却費などの影響で、資金の動きと利益はズレる


✅ キャッシュアウトのタイミングが早い

  • 商品を仕入れたり、給与を支払ったりするのは売上発生前が多い

  • 特に労働集約型ビジネスでは、先に人件費が発生しやすい


✅ 設備投資や借入返済で資金が消えている

  • 設備投資や返済原資が営業キャッシュフローを圧迫

  • 利益が出ていても、フリーキャッシュフローがマイナスになっているケース


📌 「お金が残らないのは、経営がうまくいっていない証拠」ではなく、「管理の視点が足りていない」だけかもしれません!



3. 経営者が見直すべき5つのポイント


① 売掛金の管理(入金タイミング)

  • 入金サイト(回収条件)が長すぎる場合、資金繰りを圧迫

  • 定期的に回収状況をチェックし、滞留債権を早期回収

  • 必要に応じて前受金制度や手形から振込への切り替えを検討


📌 売上≠現金。キャッシュインまでの“時間”に注目!


② 在庫の適正化

  • 過剰な在庫はキャッシュを“寝かせている”状態

  • 回転率の悪い在庫は損金にならず、資金だけが拘束される

  • 在庫のABC分析や発注頻度の見直しが有効


③ コスト構造の再検討

  • 固定費(人件費・家賃など)の見直し

  • 外注や間接部門の効率化

  • 原価率の高い商品サービスの販売比率を抑制


📌 売上の拡大より「利益の質」を見直すことが先決!


④ 設備投資と資金繰りのバランス

  • 設備投資のタイミングはキャッシュフローと整合させる

  • 減価償却と実際の支出のズレを認識する

  • 投資のROI(投資利益率)や回収期間を事前に評価


⑤ 借入金と返済計画の整合性

  • 借入は将来の成長投資のために使う

  • 毎月の返済額がキャッシュフローに見合っているか確認

  • 金融機関との対話を通じて、返済条件の柔軟化を検討

  • キャッシュフローへの負担を軽減するために、毎月の元本返済が不要な資金調達手段を積極的に活用する

    • 当座貸越契約:返済期限を設けず、必要なときに資金を引き出せる枠を確保しておくことで、資金繰りに大きな余裕をもたらす

    • 資本性ローン:一定期間元本返済が不要で、財務上は自己資本に準じた扱いとなるため、信用力強化にも有効

  • これらの手段は、成長フェーズの企業にとって、キャッシュフローの安定化と資金調達の選択肢拡大に寄与します



4. キャッシュフロー経営へのシフト


✅ 損益計算書からキャッシュフロー計算書へ


  • 利益計算では見えない「資金の実態」を把握する

  • 営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローのバランス

  • 税金支払い(法人税・消費税など)のキャッシュアウトも重要な管理項目

    • 特に消費税や法人税の中間納付など、あらかじめ納税額が見えている支出については、資金繰りへの影響を事前に織り込んでおく必要がある

    • 経営者が納税タイミングを把握していないと、突然の大きな出費として捉えられてしまい、資金繰りを圧迫する原因になる

    • 毎月一定額を納税専用口座に積み立てておくなど、計画的な納税資金の準備を行うことが望ましい

  • 利益計算では見えない「資金の実態」を把握する

  • 営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローのバランス


✅ 資金繰り表の作成と定期チェック


  • 月次ベースでのキャッシュイン・アウトの見える化

  • 短期(3ヶ月)・中期(1年)での資金予測が重要


📌 「勘と経験」ではなく「数字に基づく経営判断」へ!



5. 税理士と一緒に行うべき資金管理


税理士は、利益だけでなくキャッシュフローの見える化をサポートできます。

  • キャッシュフロー計算書や資金繰り表の作成支援

  • 売掛金・買掛金管理のアドバイス

  • 設備投資や融資時のキャッシュ影響シミュレーション


📌 経営者が本業に集中できる環境を作るのが、税理士の役割です!



6. まとめ


✅ 売上があっても「お金が残らない」原因は、キャッシュフローの視点が不足していることにある

✅ 売掛金、在庫、固定費、投資、返済の5つのポイントを見直す

✅ キャッシュフロー経営にシフトし、月次での資金管理を徹底する

✅ 税理士と連携し、財務の見える化と戦略的資金運用を行う


経営の見える化は「数字」から。お金を“残せる”経営者を目指しましょう!

 
 
 

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