「社長貸付金」「仮払金」「仮受金」が融資審査に与える重大な悪影響とは~金融機関はこう見ている!BSの“資金の不透明さ”が信用を落とす~
- yusukekondo9
- 10月16日
- 読了時間: 4分
はじめに
決算書の中で、経営者が意識しないまま金融機関の評価を著しく下げている項目があります。それが、「社長貸付金」「仮払金」「仮受金」です。
一見すると小さな金額でも、銀行の目から見れば“資金の流れが不透明”“ガバナンスが甘い”“粉飾の兆候”と捉えられてしまう可能性があるため、注意が必要です。
今回は、これらの科目が銀行融資にどのような悪影響を与えるのかを税理士の視点で解説します。
I. 社長貸付金とは何か?なぜ問題視されるのか?
✅ 定義
「社長貸付金」は、会社から代表個人に対して貸し付けられた金銭です。貸借対照表(B/S)では、資産の中の「貸付金」として計上されます。
❌ 金融機関から見た問題点
懸念 | 内容 |
資金の私的流用 | 経営者が会社のお金を個人的に使っている印象を与える |
回収可能性が不透明 | 多くの場合、返済されないまま放置されている |
経営姿勢への不信 | 「この会社は経営と私生活の区別がついていない」と評価される |
粉飾決算の疑い | 赤字を隠すための仮装取引の一部と疑われることも |
📌 たとえ資産として計上されていても、銀行は“実態のない資産”=回収できないお金として見ます。結果として、債務超過とみなされることもあります
II. 仮払金・仮受金が「ずっと残っている」のは要注意
✅ 仮払金とは
出張旅費・仕入代金などの前渡し金や、何らかの支払いがあったが、まだ正式な勘定科目が決まっていない時に使われる「仮の科目」。
✅ 仮受金とは
逆に、入金があったがその内訳が不明な場合に使われる「仮の預かり金」。
❌ 金融機関が抱く疑念
長期間残っていると、「会計処理が杜撰」「帳簿管理ができていない」印象を与える
内容が不明なまま残っていると、資金の使途が不透明で、ガバナンス面に問題ありと評価
実態は「社長貸付金」「未収入金」「仮装売上」などと疑われやすい
III. 銀行が実際にこう見ている|格付けへの影響
銀行は、決算書の中の「資産の質」を厳しく見ています。特に以下のような科目にはネガティブスコアを付ける傾向があります。
勘定科目 | 金融機関の評価 |
社長貸付金 | 実質的に回収不能 ⇒ 実質債務超過と判断される可能性あり |
仮払金 | 資金流出の使途不明 ⇒ 資金管理が甘い会社と見られる |
仮受金 | 売上の仮装や入金調整の疑い ⇒ 決算の信頼性に疑問を持たれる |
📌 いずれも“透明性の欠如”と見なされ、融資判断にマイナス影響を与えることが多いです
IV. 金融機関からの評価を下げないためにできること
✅ 対策①:社長貸付金を速やかに解消する
個人から会社への返済(資金繰りが厳しい場合は債権放棄なども検討)
貸付金の存在理由を説明できるよう整理し、今後は発生させない体制整備が重要
✅ 対策②:仮払金・仮受金を期末までに精算する
「仮」の状態は月内・決算期内に必ず解消するルールを社内で徹底
会計処理のルールを明文化し、記帳責任者を明確にする
✅ 対策③:決算書の注記・補足説明資料で透明性を高める
金融機関に提出する際には、該当科目の詳細な内訳や解消予定スケジュールを説明
税理士が作成支援する「融資対応用決算書パッケージ」などを活用
V. 税理士としてのアドバイス
弊所は、単に申告書を作るだけでなく、「金融機関から見て好印象を与える決算書」づくりのサポートも行っています。
社長貸付金・仮払金の精査と整理支援
銀行交渉用のBS改善計画書の作成
キャッシュフロー重視の会計設計 など
経営者の資金管理意識と、会計の透明性が、企業の信用力を大きく左右します。「貸付金があるけど、このままで大丈夫?」という方は、ぜひご相談ください。
まとめ
「社長貸付金」「仮払金」「仮受金」は銀行からマイナス評価されやすい科目
会計上は資産でも、銀行は“回収不能・不透明な資金”とみなす
融資を受けやすい企業体質づくりには、これらの科目を早期に整理・解消することが鍵
税理士と連携し、決算書の見え方を改善することが、資金調達力の強化に直結します
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