金融機関に好かれる経営者の特徴|融資を引き出す信頼構築
- 近藤 祐輔

- 2025年7月15日
- 読了時間: 7分
はじめに
「うちと同じくらいの業績なのに、あの会社はなぜか融資が通りやすい」「銀行に相談しても、あまり本気で取り合ってくれない気がする」——。
この差を生んでいるのは、決算書の数字だけではありません。金融機関が見ているのは「経営者としての姿勢や行動」、つまり定性的な信頼評価です。
この記事では、金融機関が「この人には貸したい」と思う経営者の共通点と、日々の中で取り組める信頼構築の方法を税理士の立場から対話形式で解説します。
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1. 金融機関が重視する「経営者力」とは?
社長: 決算書の数字は同業他社と大差ないのに、融資の通りやすさに差が出るのはなぜですか?
税理士: 融資審査では決算書などの定量情報とともに、「定性情報」が大きく影響するからです。定性情報とは、数字では表れない経営者の姿勢や行動のことです。
項目 | チェックされる内容 |
誠実性 | 約束を守る・説明責任がある・言行一致している |
経営判断力 | 数字をもとに意思決定しているか |
情報開示姿勢 | 必要な書類をタイムリーかつ正確に出せるか |
成長意欲 | 新しい取り組みに挑戦しているか・改善姿勢があるか |
社長: 数字が多少弱くても、定性評価で補えることがあるんですか?
税理士: あります。「この経営者なら任せられる」という安心感があれば、融資が実行されるケースは実務上よく見られます。逆に、数字が良くても経営者への信頼が薄ければ、担当者が社内で稟議を通しにくくなります。
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2. 金融機関に好かれる経営者の5つの特徴
社長: 具体的にどんな経営者が評価されるんですか?
税理士: 共通する特徴が5つあります。
① 情報を隠さず、正直に話す
業績が悪くても、原因と対応策を説明できればむしろ信頼が上がります。「実は昨年苦戦しましたが、今期は〇〇の改善で回復しています」と言える経営者は、銀行担当者から見て安心できる存在です。逆に、ごまかす姿勢が見えた瞬間に信用は一気に崩れます。
② 数字に関心があり、把握している
売上・利益・借入残高・返済額・月次の資金繰りを説明できる経営者は、金融機関にとって安心な存在です。会計が苦手でも、顧問税理士と連携して概要だけでも把握しておくことが大切です。
③ 月次試算表・資金繰り表をきちんと提出する
融資実行後も定期的な報告ができる会社は、継続支援の対象になりやすいです。試算表の提出は、信頼を積み上げる通帳のようなものです。
④ 定期的に面談を行い、近況や将来像を共有している
担当者は「何を考えているかわからない社長」には融資判断ができません。「1年後に新店舗を出したい」「設備を更新する計画がある」など、前向きな構想を共有することで関係が深まります。
⑤ 税理士などの専門家を巻き込んで相談している
第三者の視点があることで、金融機関は安心して判断できます。税理士が面談に同席するだけで、融資の通り方が変わるケースもあります。
関連記事:銀行との金利交渉の進め方
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3. 実例:信金からプロパー融資を獲得した製造業(年商1.8億円)
社長: 実際にこういった取り組みで融資条件が改善した事例はありますか?
税理士: あります。製造業の経営者で、もともと会計には詳しくなかった方の事例です。以下の3つの取り組みを継続しました。
試算表を毎月提出(フォーマットは税理士が作成)
金融機関担当者との月1回の面談を継続
顧問税理士を通じて事業計画書を作成し共有
社長: 結果はどうなりましたか?
税理士: 取り組み開始から2年目で、保証協会付き融資からプロパー融資に切り替えられました。さらに金利も引き下げられ、「次の設備投資の相談をしたい」と銀行側から声がかかる関係になりました。
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4. 金融機関が「嫌がる」経営者の特徴
社長: 逆に、やってはいけない行動はありますか?
税理士: 4つあります。
NG行動 | 理由 |
連絡がつかない・書類を出さない | 信用できないと判断される |
節税優先で意図的に赤字にする | 将来の融資に不利になる |
「借りるだけ借りて返せばいい」という姿勢 | 対等な関係が築けない |
担当者を軽視する態度 | 担当者が社内で推薦しにくくなる |
社長: 担当者を軽視するというのは、どういうことですか?
税理士: 融資の決裁は担当者だけでなく、支店・本部の判断が必要です。担当者が「この社長を推薦したい」と思えるような関係を築けているかどうかが、実は大きく影響します。数字の審査の前に、人としての信頼関係があってこそです。
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5. 今すぐ始められる信頼構築の3ステップ
社長: では今日から何を始めればいいですか?
税理士: 3つです。難しいことは何もありません。
① 試算表・資金繰り表を定期的に提出する
毎月の提出が理想ですが、まず「提出する習慣をつける」ことが第一歩です。フォーマットは税理士に作ってもらえます。
② 面談では未来の話をポジティブに伝える
決算が出たときだけ銀行と話すのではなく、月次での対話・報告が信頼の土台です。事業の方向性や将来の投資計画を積極的に共有しましょう。
③ 顧問税理士と連携して銀行と向き合う
会計や金融が苦手でも、伝える努力をする姿勢が評価されます。専門家を巻き込むことで、経営者一人では届かない信頼を積み上げられます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 決算書の数字が悪くても、融資を受けられることはありますか?
あります。定性評価(誠実性・情報開示姿勢・経営判断力)が高く評価されれば、数字が多少弱くても融資が実行されるケースがあります。業績悪化の原因と対応策を明確に説明できることが重要です。
Q2. 月次試算表の提出は、どの金融機関にも必要ですか?
すべての金融機関に提出する必要はありませんが、メインバンクには定期的に提出することを強くお勧めします。継続的な情報開示が、担当者の信頼と行内での評価につながります。
Q3. 担当者が変わっても信頼関係は引き継がれますか?
担当者が変わると関係がリセットされるリスクはあります。ただし、定期的な資料提出と面談の記録が残っている会社は、次の担当者への引き継ぎもスムーズです。「記録で証明できる関係」を積み上げておくことが重要です。
Q4. 節税と銀行評価は本当に相反しますか?
完全に相反するわけではありませんが、利益を意図的に圧縮する節税は銀行格付けを下げ、将来の融資条件に影響します。適正な利益を出して納税しながら内部留保を積み上げる経営の方が、長期的な資金調達力は高くなります。
Q5. 税理士が銀行面談に同席することは一般的ですか?
珍しくありません。特に融資申込・事業計画の説明・決算報告の場面では、税理士が同席することで数字の信頼性が高まり、担当者が稟議を通しやすくなります。顧問税理士に同席を依頼できるか確認してみてください。
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まとめ
融資審査では決算書の定量情報だけでなく、経営者の姿勢・行動という定性情報が大きく影響する
金融機関に好かれる経営者の共通点は、正直な情報開示・数字の把握・定期報告・未来の共有・専門家との連携
NG行動は、書類を出さない・節税で赤字にする・担当者を軽視する姿勢
「まず会いたい経営者になること」が最強の資金調達戦略
決算が出たときだけ付き合う関係ではなく、月次での対話・報告が信頼の土台です。まずは「会いたい経営者」になることを目指しましょう。
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