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成長フェーズ別・最適な資金調達戦略|創業期から安定期まで税理士が解説

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年2月13日
  • 読了時間: 7分

更新日:7月28日

はじめに


「今の自社にはどの資金調達方法が合っているのか」——これは事業フェーズによって答えが変わります。


創業期に有効な手段が、成長期・安定期には最適でなくなることがあります。この記事では、企業の成長段階ごとに活用できる資金調達の手段と選び方のポイントを、税理士の立場から対話形式で解説します。


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1. 創業期の資金調達


社長: 創業したばかりで実績がない状態では、どうやって資金を集めればいいですか?


税理士: 創業期は資金調達の選択肢が限られます。主な手段は4つです。

① 自己資金

最も基本的な資金源です。自己資金の額は「事業への本気度」を示す指標として、金融機関の審査にも影響します。


② 創業期向け融資制度

実績がない創業期でも利用できる融資制度が複数あります。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、無担保・無保証人で融資を受けられる代表的な制度です。


また、各都道府県・市区町村が設けている「制度融資(斡旋融資)」も活用できます。自治体が信用保証協会の保証料や利子を補助することで、創業期の資金調達コストを軽減する仕組みです。自治体によって内容が異なりますが、公庫融資と並行して検討する価値があります。創業期の第一の相談窓口として、顧問税理士や各自治体の創業支援窓口に確認することをお勧めします。


③ 補助金・助成金

小規模事業者持続化補助金など、返済不要の資金調達手段です。採択に時間がかかるため緊急の資金需要には向きませんが、設備投資・販路開拓のコストを抑える手段として有効です。


④ エンジェル投資家・クラウドファンディング

高い成長性が見込まれるビジネスモデルであれば選択肢になります。経営への関与が生じるケースや出資条件の精査が必要なため、導入前に専門家に相談することをお勧めします。


社長: 創業期で一番重要なのはどれですか?


税理士: 自己資金の準備と、日本政策金融公庫の創業融資・自治体の制度融資(斡旋融資)が現実的な出発点です。まずこれらを軸に考えてください。


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2. 成長期(売上拡大・投資フェーズ)の資金調達


社長: 事業が軌道に乗り、設備投資や採用に資金が必要になってきました。


税理士: 成長期は実績が積み上がるにつれて資金調達の選択肢が広がります。主な手段は3つです。

① 信用保証協会付き融資

民間銀行から信用保証協会の保証を付けて融資を受ける制度です。実績が浅い段階でも銀行融資を受けやすくなります。保証枠(無担保8,000万円など)を意識しながら計画的に活用することが重要です。


② 補助金・助成金

ものづくり補助金・IT導入補助金・賃上げ促進税制など、設備投資・人材育成・DX推進に使える制度を積極的に活用してください。返済不要のため、キャッシュアウトを抑えながら投資できます。


③ 資本性ローン

金融機関の審査上で自己資本に準じる扱いをされる融資制度です。成長投資フェーズで自己資本比率を維持しながら資金調達できます。


社長: 成長期は銀行との関係づくりも大事ですよね?


税理士: 非常に重要です。月次試算表の定期提出・定期的な面談・事業計画の共有を続けることで、信頼関係を築き、プロパー融資への移行につなげていきます。


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3. 安定・拡大期の資金調達


社長: 売上も利益も安定してきました。この段階での資金調達はどうあるべきですか?


税理士: 安定期は「信用で借りる」フェーズです。財務体質が整ってきたことで、資金調達の質が変わります。主な手段は3つです。


① プロパー融資(保証なし融資)・当座貸越契約

銀行が自己リスクで貸す融資です。自己資本比率30%以上・連続黒字・月次報告の継続などが移行の目安になります。金利交渉や融資条件の改善余地が広がります。


また、安定期には「当座貸越契約」も有効な手段です。あらかじめ設定した限度額の範囲内で、必要なときに自由に借入・返済できる仕組みです。資金繰りの突発的な不足に備えるバッファとして機能し、緊急時に都度融資申請をする手間が省けます。信用力の高いうちに枠を設定しておくことがポイントです。


② 大型設備投資向けの長期借入・シンジケートローン

1行では難しい金額も、複数の金融機関が連携するシンジケートローンで対応できます。大型投資を計画している会社は選択肢として把握しておいてください。


③ 補助金と融資の組み合わせ

設備投資に補助金(返済不要)を組み合わせることで実質的な調達コストを下げられます。圧縮記帳(積立金方式)を活用してBSを維持しながら税負担を繰り延べることも可能です。


社長: IPOや社債発行という選択肢も聞きますが?


税理士: 株式公開(IPO)は大規模な資金調達と知名度向上につながりますが、透明性の高い経営・内部統制の整備など高いコストと準備が必要です。社債発行も一定の信用力が前提になります。これらを視野に入れる場合は早い段階から公認会計士・証券会社と設計することが必要です。


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4. フェーズをまたいで共通する3つの原則


社長: フェーズに関わらず、資金調達で常に意識すべきことはありますか?


税理士: 3点あります。


① 内部留保の積み上げが最も安定した「自己調達」

どのフェーズでも、毎期の利益を会社に残し続けることが財務体質の強化につながります。借入や出資に頼らずに成長できる体力を積み上げることが長期的な資金調達力の源泉です。


② 節税と資金調達力は相反する場合がある

節税で利益を圧縮すると内部留保が積み上がらず、銀行格付けが下がります。税額控除を優先し、課税を繰り延べるだけの節税手段は出口戦略まで含めて慎重に判断することが基本方針です。


③ 資金調達は「必要になる前」に動く

銀行は「お金が必要な会社」より「余裕のある会社」に貸したがります。次のフェーズを見越して余裕のあるうちに調達枠を確保しておくことが重要です。


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よくある質問(FAQ)


Q1. 創業期と成長期で資金調達の難易度はどう変わりますか?

創業期は実績がないため選択肢が限られますが、日本政策金融公庫の創業融資・補助金・自己資金が主な手段になります。成長期は実績が積み上がるにつれて民間銀行融資・保証付き融資・大型補助金など選択肢が広がります。


Q2. 各フェーズで税理士はどう関わりますか?

創業期は事業計画書の数値作成・公庫融資申請のサポート、成長期は月次試算表整備・融資資料作成・補助金申請支援、安定期は財務戦略設計・プロパー移行支援など、フェーズに応じて関与の内容が変わります。


Q3. プロパー融資に移行するタイミングの目安はありますか?

自己資本比率30%以上・2期以上の連続黒字・月次試算表の定期提出が続いていることが目安です。メインバンクに意向を伝え、条件を確認することから始めてください。


Q4. 補助金と融資を同時に使えますか?

使えます。設備投資に補助金と融資を組み合わせることで、実質的な自己負担を抑えながら投資できます。補助金は採択から入金まで時間がかかるため、つなぎ資金として融資を先に実行するケースも多いです。


Q5. 資金調達の方法を変えるタイミングはどう判断すればいいですか?

自己資本比率・債務償還年数・営業CFの変化と事業フェーズの変化を合わせて確認することが判断の基準になります。顧問税理士と定期的に財務状況をレビューし、次のフェーズへの移行タイミングを早めに設計することをお勧めします。


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まとめ


企業の成長に合わせて資金調達の手段を最適化することが、持続的な成長の土台になります。

  • 創業期:自己資金・日本政策金融公庫の創業融資・補助金

  • 成長期:信用保証協会付き融資・補助金・資本性ローン・銀行との関係構築

  • 安定期:プロパー融資・長期借入・補助金との組み合わせ


どのフェーズでも共通するのは、内部留保の積み上げを基本としながら、必要になる前に動くことです。


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