top of page
検索

固定費と変動費の分類と経営戦略|利益率改善の第一歩

  • yusukekondo9
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

はじめに


「売上は増えているのに、なぜか利益が出ない・・・」

こうした悩みを持つ中小企業経営者は少なくありません。

その原因の多くは、コスト構造が見えていないことにあります。

とりわけ、「固定費」と「変動費」の区分を明確にすることで、

  • 利益構造の見える化

  • 損益分岐点の把握

  • 意思決定のスピードアップ

につながり、企業の利益体質を強化することが可能です。


この記事では、税理士の視点から、固定費と変動費の分類とその戦略的な活用方法について解説します。



  1. 固定費とは


売上の増減に関わらず一定額発生する費用です。


■ 主な項目

  • 地代家賃

  • 人件費(固定給)

  • 減価償却費

  • 保険料

  • リース料


売上ゼロでもかかる費用であるため、利益を圧迫しやすい反面、規模拡大によって利益率の改善に寄与しやすいという特徴があります。



  1. 変動費とは


売上や生産量に応じて増減する費用です。


■ 主な項目

  • 仕入原価

  • 外注費(案件ごと)

  • 販売手数料(成果報酬型)

  • 梱包・配送費(売上連動)


売上に比例してかかる費用であるため、利益率を一定に保つ特徴がありますが、変動費の増加をコントロールできないと収益を圧迫します。



  1. 固定費と変動費の分類を誤ると?


例えば、人件費をすべて固定費として扱うと、

  • 繁閑の波に対応できない

  • 業績悪化時に損失が拡大しやすい


一方で、完全歩合制のようにすべてを変動費にすると、

  • モチベーション管理が難しくなる

  • 人材の定着率が下がる


固定費と変動費のバランスは業種や成長ステージに応じて設計が必要です。



  1. 経営戦略としての費用構造の見直し


● 売上が不安定な業種では固定費を圧縮

  • オフィスはシェア型に切り替え

  • 従業員はパート・業務委託へ


● 成長ステージでは固定費の拡大も視野に

  • 固定スタッフの確保(品質安定)

  • オフィス拡張・設備投資(供給能力強化)


→ 固定費を戦略的に「先行投資」として捉える発想も重要です。



  1. 損益分岐点の活用


売上高から変動費を引いた「限界利益」が、固定費を超えた分が利益になります。


損益分岐点 = 固定費 ÷ 限界利益率


この損益分岐点売上高を把握しておくことで、

  • 目標売上の明確化

  • 経費削減の優先順位づけ

  • 設備投資や人件費増の判断基準

といった経営判断のスピードと精度が高まります。



まとめ

区分

特徴

戦略的活用

固定費

売上に関係なく発生

売上増で利益率が改善する/過剰は赤字要因に

変動費

売上に比例して発生

経費として自然発生/原価率改善が収益力強化に



弊所サービスに関するお問い合わせは「お問い合わせフォーム」からお願いいたします

 
 
 

最新記事

すべて表示
交際費・会議費の見せ方と実効性の違い|税務と金融機関評価の分岐点

はじめに 中小企業の経営者にとって「交際費」と「会議費」の分類は、単なる勘定科目の話にとどまりません。 税務上の損金算入の可否 金融機関からの印象(見せ方) といった2つの観点で大きな意味を持ちます。 本記事では、税理士の視点から、交際費・会議費の実務的な使い分けと金融機関との関係性を整理し、適正な処理とリスクヘッジのポイントを解説します。 交際費とは ■ 税務上の定義(法人税法第61条の4) 「

 
 
 
役員報酬と利益のバランスの取り方~中小企業が見落としがちな資金繰りと評価の視点~

はじめに 「節税のために役員報酬を多く取って、法人の利益を抑えたい」 こうした考え方は多くの中小企業で見られます。確かに、役員報酬は法人の損金になり、法人税の軽減に繋がります。 しかし、役員報酬の増加に伴い、 社会保険料の負担も増加 し、加えて 個人の所得税は累進課税 であるため、一定以上の報酬額になると 法人・個人トータルでの税負担が増える可能性が高くなります 。 この記事では、税務・財務・金融

 
 
 
節税しすぎて資金繰りが悪化するパターン~税金は減ってもキャッシュが減っては本末転倒~

はじめに|「節税=経営改善」ではない 「税金を払いたくない」 「とにかく節税したい」 経営者であれば誰もが思う感情かもしれません。ですが、 “節税”と“資金繰り”は必ずしも一致しない のが現実です。 特に、 節税を目的に過度な経費支出や設備投資をすると、結果的にキャッシュが枯渇して資金繰りが悪化する というケースが後を絶ちません。 この記事では、税理士の立場から「節税と資金繰りの落とし穴」について

 
 
 

コメント


近藤祐輔税理士事務所

Yusuke Kondo Tax Accounting Office

〒279-0023 千葉県浦安市高洲8丁目1番714

​TEL:047-707-3714

©2025 近藤祐輔税理士事務所

bottom of page