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利益率アップ戦略|売上より重要な利益構造の作り方を解説

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年5月6日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月2日

はじめに


「売上は順調に伸びているのに、なぜか手元に利益が残らない・・・」


こうした悩みを抱える経営者は少なくありません。実は、成長を続けている企業にとって重要なのは「売上を増やすこと」だけでなく、「利益率を高めて、売上に見合う利益を確保すること」です。


売上が伸びても利益率が低ければ、採用・投資・借入返済・納税で資金が残らず、成長は止まります。今回は社長と税理士の対話形式で、利益率の考え方と利益構造を改善する具体策を解説します。


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1. 売上の大きさより「利益率」が重要な理由


社長: 売上が伸びていれば、利益も自然と増えませんか?


税理士: 必ずしもそうではありません。具体的な数字で見てみましょう。


■ A社(売上は大きいが利益が残らない)
年商     5億円
営業利益率  2%
営業利益   1,000万円
→ 納税・借入返済・投資を考えると、手元資金はほとんど残らない

■ B社(売上は小さいが利益が残る)
年商     4億円
営業利益率  8%
営業利益   3,200万円
→ 採用・投資・借入返済に十分な余力がある

社長: 年商が1億円少ないB社の方が、実態としては強い会社なんですね。


税理士: そうです。銀行も同じ視点で見ています。売上の大きさより「どれだけ利益が残るか」「その利益でどれだけ借入を返せるか」が、融資評価の核心です。


📌 売上の大きさよりも、利益率と利益の質が会社の成長力を決めます。

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2. 意識すべき3つの利益率


社長: 利益率って、どれを見ればいいですか?


税理士: 特に意識してほしいのは3つです。


① 売上総利益率(粗利率)


粗利率 =(売上高 − 売上原価)÷ 売上高

商品・サービスの原価構造と値付け戦略に直結します。まず最初に確認すべき指標です。


② 営業利益率


営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高

本業の収益力と販管費のバランスを示します。粗利率が高くても販管費が膨らんでいると、営業利益率は低くなります。


③ 経常利益率


経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高

本業+財務活動(支払利息など)を含めた「会社全体の健全度」を示します。借入が多い会社は支払利息の影響で、営業利益率より経常利益率が低くなります。


社長: どれが一番重要ですか?


税理士: 目的によって異なりますが、銀行が返済能力の判断に使うのは主に営業利益率と経常利益率です。また日々の経営判断には粗利率と限界利益率のセット管理が有効です。


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3. 利益率が低下する典型的な原因


社長: 利益率が下がる原因って、どんなことがありますか?


税理士: 主に4つのパターンがあります。

  • 原価が上がっているのに価格に転嫁できていない(仕入コスト増・物価高への対応遅れ)

  • 人件費・広告費などの販管費が増えすぎている(売上増加に対してコスト管理が追いついていない)

  • 非効率な在庫管理や過剰仕入でロスが出ている(在庫回転率の悪化)

  • 安易な値引き・キャンペーンが常態化している(価格競争への巻き込まれ)


社長: まず何から始めればいいですか?


税理士: 自社の過去3〜5年の利益率推移を把握し「いつ・なぜ下がったのか」を分析することが出発点です。原因がわからないまま対策を打っても効果が出ません。


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4. 利益率アップの具体的戦略


① 粗利率の改善

  • 商品別・サービス別の粗利率を見える化し、高粗利の商品・サービスに注力する

  • 価格競争ではなく「価値提案」による値上げ戦略を検討する

  • 仕入先の見直し・在庫回転率の改善でロスを削減する


② 営業利益率の向上

  • 固定費の見直し(家賃・人件費・ITコストなど)

  • 外注コストの削減や業務の自動化・効率化

  • 生産性向上による人件費の最適化


社長: 人件費を削減するというのは、採用を絞るということですか?


税理士: 単純な採用抑制より「1人当たりの生産性を上げる」という発想が重要です。売上が2倍になっても人員が1.5倍で済むような仕組みを作れれば、利益率は自然と上がります。


③ 顧客別・事業別の採算分析


社長: 「売上はあるのに利益が出ていない」取引って、どうやって見つけますか?


税理士: 顧客別・案件別・事業別の粗利率を計算することです。売上規模が大きくても粗利率が低い取引を「見えていない赤字」と呼びます。採算の悪い事業を縮小・撤退し、利益率の高い分野に集中することで、売上が下がっても利益は増えるケースがあります。


④ 月次で利益率を管理する


月次の試算表・部門別PLを活用し、利益率の変化をリアルタイムで把握します。営業や管理部門と数字を共有し、月次でPDCAを回す体制が、利益率改善の継続性を生みます。

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5. 利益率と節税・財務の関係


社長: 利益が増えると税金も増えますよね。節税して利益を圧縮した方がいいですか?


税理士: ここが非常に重要なポイントです。利益を意図的に圧縮しすぎると、以下の問題が生じます。

  • 内部留保が蓄積されず、自己資本比率が上がらない

  • 銀行の格付けが上がらず、プロパー融資が通りにくくなる

  • 企業価値(評価額)が伸びない


社長: では節税はしない方がいいんですか?


税理士: そうではありません。節税と内部留保のバランスが重要です。繰延型の節税を積極的に検討してよいのは、内部留保が十分に蓄積され、自己資本が厚くなり、もはや大きく成長する必要がないと判断できるステージに達してからです。

成長フェーズにある会社では、過度な節税によって純資産が積み上がらず、財務的に脆弱な体質になってしまうリスクがあります。

📌 利益率が高く営業キャッシュフローが安定している会社は、借入余力があり成長資金を確保しやすい。これが銀行評価の本質です。

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よくある質問(FAQ)


Q1. 営業利益率の目標はどのくらいが適切ですか?

業種によって大きく異なります。製造業・建設業は5〜10%、小売業は3〜8%、サービス業・IT業は10〜20%程度が一般的な目安です。重要なのは絶対値より「前年比でどう変化しているか」のトレンドと、同業他社との比較です。


Q2. 値上げをすると顧客が離れないか心配です。どう考えればいいですか?

値上げの成否は「値上げの理由を伝えられるか」にかかっています。原材料費・人件費の上昇など合理的な理由を丁寧に説明できれば、長期取引先は理解してくれるケースが多いです。また値上げを機に採算の悪い取引から撤退し、利益率の高い取引に集中する機会にもなります。


Q3. 顧客別の採算分析はどうやって始めればいいですか?

まず売上高・売上原価・直接経費(外注費・運送費など)を顧客別に集計することから始めます。会計ソフトの科目設定を工夫するか、Excelで手動集計する方法があります。全顧客を対象にする必要はなく、売上上位10社の採算分析から始めるだけで有益な気づきが得られます。


Q4. 利益率改善と売上増加はどちらを優先すべきですか?

原則として利益率改善を先に行うことをお勧めします。利益率が低い状態で売上を伸ばしても、コストと労力が比例して増えるだけで手元資金は増えません。まず利益が残る構造を作ってから、その構造を活かして売上を伸ばすのが理想的な順序です。


Q5. 利益率の管理を税理士に依頼するメリットは何ですか?

月次試算表の精度向上・部門別PLの設計・業種平均との比較分析・改善策の優先順位づけなどをサポートできます。また「利益率改善と節税のバランス」「銀行評価への影響」という財務・税務の両面から一体でアドバイスできる点が、税理士に依頼する最大のメリットです。


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まとめ


  • 売上の大きさより「利益率」が会社の成長力を決める

  • 意識すべきは粗利率・営業利益率・経常利益率の3つ

  • 利益率低下の主因は「価格転嫁の遅れ」「販管費の膨張」「採算管理の不足」

  • 顧客別・事業別の採算分析で「見えていない赤字」をあぶり出す

  • 成長フェーズでの過度な節税は自己資本を弱め、銀行評価を下げるリスクがある

  • 繰延型節税を積極活用してよいのは内部留保が十分に蓄積されたステージから


利益率の改善は単なるコスト削減ではなく、会社の成長戦略そのものです。利益が残る構造を作ることが、次の成長投資と資金調達力の土台になります。


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