金融機関が重視する「代表者の信用」と「事業計画書」の作り方とは?~創業融資や事業拡大の審査で通過率を高める実務ポイント~
- yusukekondo9
- 2 日前
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はじめに
「融資審査で見られるのは決算書だけじゃない」これは、銀行融資における本質のひとつです。
特に創業期や小規模企業では、「代表者の信用」と「事業計画書の完成度」が、融資の可否に直結します。
今回は、金融機関が実際にどのように経営者を評価しているのか、そして評価される事業計画書をどう作ればいいかを、税理士の実務目線で具体的に解説します。
1. 金融機関が融資審査で見る2つの「信用」
銀行などの融資審査では、「信用」という言葉が何度も登場します。実はこの“信用”には、大きく次の2種類があります。
(1)会社の信用(≒財務内容・実績)
売上や利益、キャッシュフロー、自己資本比率など
過去の返済履歴(延滞やリスケの有無)
債務超過や赤字の有無
📌 これらは「決算書・試算表」で判断されます。
(2)代表者の信用(≒人格・行動履歴・資質)
履歴書や経歴の一貫性
過去の勤務先、実務経験
借入の有無、返済実績(個人信用情報)
金融機関との面談での受け答え・姿勢
📌 創業融資や保証付き融資では、会社の信用よりも代表者の信用の方が重視されることもあります。
2. 「代表者の信用」が低く見られる典型例
❌ 借入・延滞履歴が信用情報に残っている
クレジットカードやローンの返済遅延があると、個人信用情報に記録されます(CIC・JICCなど)
スマホ分割払いの延滞も要注意
❌ 経歴が飛び飛びで一貫性がない
たとえば「飲食業をやるのにIT業界から独立」といった場合、業界経験ゼロであればリスク高と判断される
❌ 面談で事業への熱意が伝わらない
曖昧な受け答え、収支の数字が曖昧、売上根拠に具体性がない→ 「本気でやる気があるのか?」と金融機関は疑念を持ちます
3. 金融機関に響く「事業計画書」の作り方
審査で最も重視される書類のひとつが「事業計画書(創業計画書)」です。以下のような構成・ポイントで作成すると、金融機関にとって非常に評価が高くなります。
3-1. 創業の動機(過去の経験と強み)
「なぜこの事業をやるのか?」
「これまでのどんな経験が活きるのか?」
📝 経歴の一貫性を説明するパートでもあり、「再現性のある経営」ができることを示す
3-2. 商品・サービスの内容
提供するものが具体的か(メニュー/価格/単価/原価)
強み・他社との差別化は何か?
📝 特に競合分析と差別化ポイントを1文で言えることが重要
3-3. ターゲット・集客戦略
顧客は誰か?(年齢層・地域・法人個人など)
どうやって集客するのか?(SNS・紹介・広告)
立地戦略や市場の裏付けがあるか?
📌 見込み顧客の名前が出ると説得力が非常に高まります
3-4. 売上・利益・資金繰りの見通し
月次の売上・経費・利益・キャッシュフローが3~6ヶ月単位で試算されているか
開業資金の内訳と、自己資金比率が明示されているか
📌 実績ゼロの創業期こそ、「数字の根拠と妥当性」が問われます
3-5. 返済可能性の説明
融資金額に対し、何ヶ月目から返済原資(利益)が出てくるか
返済の安全余裕はあるか?(利息+元本)
📝 このパートを甘く見ると「返せる見込みが薄い」と判断されます
4. 税理士がサポートすると何が変わるのか?
試算表や月次計画の数字が現実的・精緻になる
銀行との事前面談での質疑対応がスムーズになる
金融機関からの評価が「会計のプロが関与している」ことで上がる
📌 実務では「税理士が関与している企業は書類の信頼性が高い」と言われることが多いです
5. まとめ:信頼と計画が金融機関との関係を築く
金融機関が最終的に融資を決めるときに重視するのは、「この人なら、資金を活かして事業を続けていけるか?」という判断です。
数字だけでなく、代表者の考え方・姿勢・熱意・計画性すべてが審査の対象になります。だからこそ、融資の申請は「数字と想いを伝えるプレゼン」として準備しましょう。
✅ 経営者へのアドバイス
自己資金や過去の経歴は「経営者の覚悟」を伝える材料になります
創業計画書は“書類”である以上に、“事業へのラブレター”だと思って丁寧に作成しましょう
顧問税理士と協力して、事前準備をしっかり整えたうえで、金融機関との面談に臨むのが成功の鍵です
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