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融資審査で見られる代表者の信用と事業計画書の作り方

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年6月10日
  • 読了時間: 7分

更新日:4月23日

はじめに


「融資審査で見られるのは決算書だけじゃない」——これは銀行融資における本質の一つです。


特に創業期や新規事業への投資局面では、代表者の信用事業計画書の完成度が、融資の可否に直結します。決算書が良くても、計画書の説得力が弱ければ否決されることがあります。逆に決算書が弱くても、代表者の信用と計画の現実性が高く評価されれば融資が通ることもあります。


今回は社長と税理士の対話形式で、金融機関が実際に経営者をどう評価しているか、そして評価される事業計画書の作り方を解説します。


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1. 融資審査における「信用」の2種類


社長: 銀行の融資審査って、決算書だけ見ているわけじゃないんですか?


税理士: そうです。融資審査で使われる「信用」には大きく2種類あります。


① 会社の信用(財務内容・実績)

確認される内容

確認方法

売上・利益・キャッシュフロー・自己資本比率

決算書・試算表

過去の返済履歴(延滞・リスケの有無)

信用情報・銀行の取引記録

債務超過・赤字の有無

貸借対照表・損益計算書


② 代表者の信用(人格・行動履歴・資質)

確認される内容

確認方法

経歴の一貫性・実務経験

履歴書・面談

個人の借入状況・返済実績

個人信用情報(CIC・JICC)

事業への理解度・熱意

面談での受け答え・事業計画書


社長: 個人の信用情報まで見られるんですか?


税理士: 見られます。特に創業融資や保証付き融資では、会社の財務実績がない分、代表者の個人信用情報が審査の中心になります。クレジットカードやローンの返済遅延・スマートフォンの分割払いの延滞も記録されますので注意が必要です。


📌 創業融資や保証付き融資では、会社の信用より代表者の信用の方が重視されるケースがあります。

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2. 「代表者の信用」が低く評価される典型的なケース


社長: 代表者の信用が低く見られるのはどんな場合ですか?


税理士: 主に3つのパターンがあります。


① 個人信用情報に延滞履歴が残っている


クレジットカード・ローン・スマホ分割払いの延滞は、CIC・JICCなどの個人信用情報機関に記録されます。延滞履歴があると、いくら事業計画が優れていても審査に通りにくくなります。融資申請前に自分の信用情報を確認しておくことをお勧めします。


社長: 過去の延滞は消えないんですか?


税理士: 一定期間(通常5年程度)で情報は消えます。ただし消えるまでは影響が続くため、延滞がある場合は時期を見計らって申請するか、延滞のない実績を積み上げてから申請することが重要です。


② 経歴に一貫性がない


たとえば飲食業を始めるのに業界経験がゼロの場合、「なぜあなたがこの事業をやるのか」の説得力が弱くなります。銀行は「この経営者に再現性のある経営ができるか」を見ています。異業種からの転身でも、関連するスキル・経験を事業計画書で丁寧に説明できれば評価は変わります。


③ 面談で事業への理解・熱意が伝わらない


曖昧な受け答え・数字の根拠が説明できない・売上見込みに具体性がないと「本気でやる気があるのか」と金融機関は疑念を持ちます。面談は「数字と想いを伝えるプレゼンの場」として準備することが重要です。


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3. 金融機関に評価される事業計画書の作り方


社長: 事業計画書って、どう作れば銀行に評価されますか?


税理士: 銀行が見ているのは「夢や熱意」だけでなく「数字の現実性と根拠」です。以下の5つの要素が揃っていることが最低条件です。


① 創業・事業の動機(過去の経験と強み)


「なぜこの事業をやるのか」「これまでのどんな経験が活きるのか」を具体的に説明します。経歴の一貫性を示すパートでもあり、「再現性のある経営ができる」ことを銀行に伝える重要な部分です。


② 商品・サービスの内容と差別化


提供するもの(メニュー・価格・単価・原価)が具体的に示されているか、競合との差別化ポイントを一文で言えるかが重要です。「他の会社と何が違うのか」が明確でない事業計画書は説得力に欠けます。


③ ターゲット・集客戦略


顧客は誰か(年齢層・地域・法人か個人か)、どうやって集客するか(SNS・紹介・広告・地域営業)が具体的に示されているかがポイントです。


社長: 見込み客の名前が出ると良いと聞いたことがあります。


税理士: 効果的です。「すでにこういう顧客から興味を持たれている」「〇〇社から相談を受けている」という具体的な情報があると、計画の現実性が一気に高まります。


④ 売上・利益・資金繰りの見通し


月次の売上・経費・利益・キャッシュフローが3〜6か月単位で試算されているか、開業資金の内訳と自己資金比率が明示されているかが重要です。


📌 実績がない創業期こそ「数字の根拠と妥当性」が問われます。根拠のない楽観的な数字は逆効果です。

⑤ 返済可能性の説明


融資金額に対して何か月目から返済原資(利益)が出てくるか、返済に十分な余裕があるかを具体的に示します。このパートが甘いと「返せる見込みが薄い」と判断されます。


返済可能性の説明例

月次利益(見込み)    50万円
月々の元本+利息返済額  28万円
──────────────────────────
返済後の手残り      22万円(余裕あり)

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4. 成長期・拡大期の経営者が提出すべき計画書


社長: うちはすでに売上があるんですが、追加融資のときも事業計画書は必要ですか?


税理士: 必要です。創業期の「創業計画書」とは異なり、成長期・拡大期では「中期事業計画書」や「設備投資計画書」が求められます。以下の内容を盛り込むと銀行評価が上がります。

  • 現状の財務状況の分析(自社の強み・課題の認識)

  • 今回の投資・借入の目的と回収シナリオ

  • 3か年の売上・利益・キャッシュフロー予測

  • 既存借入の残高と返済スケジュール

  • 投資後の返済余力(DSCR)の試算

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5. 税理士が関与することで何が変わるか


社長: 事業計画書って、自分で作れますか?


税理士: 作れます。ただし税理士が関与することで以下の点が変わります。

  • 試算表・月次計画の数字が現実的・精緻になる

  • 銀行との事前面談での質疑対応がスムーズになる

  • 「会計のプロが関与している企業」として書類の信頼性が上がる

  • 融資面談への同席で、経営者の説明を数字の観点から補完できる


実務では「税理士が関与している企業は書類の信頼性が高い」と銀行担当者から言われることが多いです。計画書の作成は、税理士と一緒に進めることをお勧めします。


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よくある質問(FAQ)


Q1. 個人信用情報はどこで確認できますか?


CIC(シー・アイ・シー)とJICC(日本信用情報機構)のそれぞれに開示請求できます。オンラインで手続きでき、手数料は数百円程度です。融資申請前に自分の情報を確認しておくことをお勧めします。


Q2. 事業計画書に記載する売上見込みはどう計算すればいいですか?


「客単価×客数×営業日数」など、根拠のある計算式で示すことが重要です。楽観的な数字より「保守的な見込み」で作成し、それでも返済できることを示す方が銀行に評価されます。


Q3. 自己資金はどのくらい必要ですか?


一般的に総投資額の20〜30%を自己資金で用意できると審査に有利です。自己資金が少ないと「本気度・覚悟」を疑われることがあります。ただし日本政策金融公庫の創業融資など、自己資金の要件が緩い制度もあります。


Q4. 事業計画書は何ページくらいが適切ですか?


日本政策金融公庫の創業計画書は所定のフォーム(A4・2〜4ページ程度)がありますが、民間銀行への提出用は自由形式です。内容の充実度が重要で、ページ数より「数字の根拠と返済可能性の説明」が揃っているかどうかが評価の基準です。


Q5. 融資面談で特に気をつけることはありますか?


①数字を即答できるよう準備する(月商・固定費・返済額など)、②「なぜこの金額が必要か」を具体的に説明できる、③返済の見通しを自信を持って説明できる、この3点が重要です。準備不足の印象を与えると「この経営者は数字を把握していない」と評価されます。


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まとめ


  • 融資審査は「会社の信用(財務内容)」と「代表者の信用(人格・行動履歴)」の両方で判断される

  • 個人信用情報(CIC・JICC)の延滞履歴は融資審査に直接影響する

  • 事業計画書は「動機・商品・集客・数値計画・返済可能性」の5要素が揃っていることが最低条件

  • 成長期・拡大期の追加融資では「中期事業計画書」が求められる

  • 税理士の関与により書類の信頼性が上がり、面談での補完が可能になる


融資の申請は「数字と想いを伝えるプレゼン」です。代表者の信用と計画の現実性を丁寧に準備することが、審査通過への最短ルートです。


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