運転資金と設備資金、調達方法と返済期間の正しい設計とは?~融資条件を有利にするための基本と実践ポイント~
- yusukekondo9
- 7月3日
- 読了時間: 3分
はじめに
資金調達の相談を受ける中で、経営者の方がよく誤解されているのが、「運転資金と設備資金の違い」や「返済期間の設計」に関するポイントです。
この設計を誤ると、返済負担が重くなったり、金融機関からの評価が下がったりするケースも少なくありません。本記事では、調達目的に応じた適切な融資設計の考え方と、実務での設計事例をご紹介します。
1. 運転資金と設備資金の違いとは?
資金の種類 | 内容 | 使途の例 | 一般的な返済期間 |
運転資金 | 日常の経費支払に使う資金 | 仕入・人件費・外注費・家賃など | 1~5年程度 |
設備資金 | 将来の売上に結びつく投資 | 機械・車両・店舗内装・ソフト開発 | 5~15年程度(耐用年数による) |
📌 ポイントは、「資金の回収期間」と「返済期間」がマッチしているかどうかです
2. 「短期資金で長期投資」は絶対NG!
例えば、5年かけて利益を生む店舗の内装に対して、1年返済の融資を受けた場合:
キャッシュが回る前に返済がスタートし、資金繰りが悪化
金融機関に対して「計画性に欠ける」と見なされる可能性も
📌 設備資金は、設備の耐用年数や投資回収見込みに応じて、5年~10年で設計するのが原則です
3. 金融機関が見る「資金使途と返済期間の整合性」
金融機関は融資申込時に、次のような点を確認します:
チェック項目 | 解説 |
資金使途が明確か | 「○○の購入費」と具体的に説明できること |
返済期間が適正か | 短すぎる or 長すぎる返済期間はNG(無理 or リスク) |
返済原資の見込み | 借りた資金をどう回収し、どう返済するかの説明があるか |
資金の性質が適切か | 設備資金を運転資金でまかなうなどはNG |
📌「資金使途が不明確」「短期で借りて長期に使う」などは、審査上大きなマイナスポイントです
4. 適切な設計に必要な3つの視点
① 資金回収までの期間を見積もる
店舗なら集客~売上安定までに要する期間(通常6ヶ月~1年)
機械なら稼働率や加工量の立ち上がりスピード
IT開発ならリリース→運用→収益化までの時間
📌 この見積もりに合わせて「返済据置期間(元本返済猶予)」を設定することも可能です
② 返済負担が月商に対して無理がないか確認
返済額 ÷ 月商が10~15%以内が目安(それ以上は慎重に)
運転資金なら、資金繰り表で返済と支出のバランスを見る
③ 自己資金と併用するかどうかも設計の一部
全額を融資に頼るのではなく、一定額の自己資金を投入することで、「本気度」「リスク分散」「審査の印象」すべてに好影響を与えます。
5. 実例紹介:飲食店開業時の資金設計
開業費用1,500万円の飲食店開業にあたっての例:
項目 | 内容 |
内装・厨房機器 | 1,000万円(設備資金/返済期間10年) |
開業準備・広告 | 300万円(運転資金/返済期間3年) |
生活費・予備 | 200万円(自己資金で準備) |
設備資金には据置期間6ヶ月を設定(開業→売上安定までを想定)
月々の返済額が総売上の12%以内になるよう調整
📌 金融機関から「計画が非常に現実的で丁寧」と高評価を受け、希望額満額で融資承認されました
まとめ:資金の「目的」と「期間」を一致させることが鍵
融資の設計は「調達額」だけでなく、「使い道」と「返済期間」の整合性が重要
金融機関に対して、論理的かつ実行可能な返済設計を示すことが信頼獲得への第一歩
顧問税理士や資金調達に強い専門家と一緒に、計画段階から設計していくのが望ましいです
✅ 経営者へのアドバイス
借りる時点で“返し方”を必ず想定しましょう
「とりあえず短めに返済した方がいい」は必ずしも正解ではありません
融資の組み方ひとつで、キャッシュフローも信用評価も大きく変わります
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