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銀行の格付けとは|資金調達力を高める5つの改善アクション

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年7月1日
  • 読了時間: 7分

はじめに


「うちは黒字決算なのに、なぜ融資の条件が悪いのか?」「なぜあの会社にはプロパー融資が通って、うちには保証付きなのか?」


その背景には、金融機関が企業に対して独自に評価している「格付け」があります。格付けは企業の信用力スコアであり、資金調達の可否・金利・融資期間を大きく左右します。


今回は社長と税理士の対話形式で、格付けの仕組みと改善のための実践的な方法を解説します。


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1. 銀行の格付けとは何か


社長: 銀行の格付けって、自分の会社がどのくらいか知ることはできますか?


税理士: 原則として非公開です。担当者に直接聞いても明言されません。しかし格付けは「企業の信用リスクを数値化・ランク付けしたもの」であり、銀行内部で融資判断・金利設定・保証の要否・融資限度額の決定に使われています。


社長: 格付けが良いと、具体的にどんなメリットがありますか?


税理士: 格付けが良い企業ほど以下の優遇を受けやすくなります。

  • 低金利での融資

  • 信用保証協会なしのプロパー融資

  • 長期融資・大型融資への対応

  • 条件変更交渉での柔軟な対応


逆に格付けが下がると、「同じ会社・同じ実績でも借入条件が一変する」という事態が起きます。


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2. 格付けを構成する3つの評価軸


社長: 銀行は何を見て格付けを決めるんですか?


税理士: 主に3つの評価軸があります。


① 財務スコア(定量評価)

過去の決算書3期分を中心に評価されます。主な指標は自己資本比率・営業利益率・債務償還年数などです。一つの目安として以下が健全水準とされることが多いです。

  • 自己資本比率:30%以上

  • 営業利益率:5%以上

  • 債務償還年数:10年以内


社長: 数字さえ良ければ格付けも上がりますか?


税理士: 数字は重要ですが、それだけではありません。


② 経営の定性評価(定性スコア)

経営者の誠実性・リーダーシップ・月次管理体制・事業の将来性・金融機関との情報共有姿勢なども評価されます。面談での対応・経営計画の説明・数字への理解度が大きく影響します。


社長: 「情報共有の姿勢」というのは、具体的にどういうことですか?


税理士: 月次試算表を定期的に提出しているか・資料の提出が早く正確か・担当者の質問にすぐ答えられるか、といった点です。「この経営者は数字を把握している」という印象が定性評価に直結します。


③ 与信履歴・取引実績

返済の遅延の有無・預金取引の規模・給与振込や納税口座の利用・取引年数などが評価されます。「日頃からの姿勢」がそのまま格付けに影響します。


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3. 格付けが悪いとどうなるのか


社長: 格付けが下がると、具体的にどんな影響がありますか?


税理士: 以下のような影響が出ます。

項目

影響内容

融資可否

審査が通りにくい・保証協会付きに限定される

金利

引き下げが難しく、相場より高く提示されやすい

借入期間

長期融資が難しくなり、運転資金中心になる

条件変更

繰上げ返済・条件変更が受けにくくなる


社長: 格付けが「下がった」とはどういうときに起きるんですか?


税理士: 主に以下のときです。赤字決算が続いた・自己資本比率が大きく低下した・返済が遅延した・月次資料の提出が止まった——などです。格付けの変化は本人に通知されないため、「気づいたら条件が悪化していた」という事態が起きやすいです。


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4. 格付けを改善する5つのアクション


社長: 格付けは改善できるんですか?


税理士: できます。格付けは数字と姿勢で着実に変えていけます。


① 月次試算表・資金繰り表を整備して定期提出する

月次試算表と資金繰り表を毎月(少なくとも四半期に1回)金融機関に提出します。「管理体制が整っている企業」として認識され、定性評価が上がります。


② 営業利益を安定的に黒字に保つ

単年度の赤字でも翌期に黒字化すれば回復できます。ただし節税を目的とした「意図的な赤字」は格付けを下げる要因になるため注意が必要です。


③ 自己資本を積み上げる

毎期の利益を内部留保として積み上げることが基本です。社長借入金の資本振替(DES)なども選択肢の一つですが、手続きに注意が必要なため税理士に相談することをお勧めします。


④ 経営計画書・事業説明資料を提出する

計画に基づいた資金調達は「戦略的経営」として高評価されます。計画が未達でも、目標を立てて説明できる姿勢そのものが評価されます。


⑤ 顧問税理士の関与を明示する

数字の信頼性が上がり、銀行側も安心して判断できます。税理士が面談に同席・説明することで格付けが改善された事例は実務上多くあります。


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5. 実例:格付け改善でプロパー融資を実現


社長: 実際に格付けが改善した事例はありますか?


税理士: 年商1.8億円のサービス業のケースです。

赤字決算が続いており、保証協会付きでしか借入ができない状態でした。そこで月次試算表と資金繰り表の整備を徹底し、税理士が同席して経営計画書を提出するようにしました。

2期連続で営業利益が黒字になり、自己資本比率が改善。3年目に金融機関の評価が上がり、プロパー融資1,500万円の承認を受けることができました。


社長: 3年かかるんですね。


税理士: 格付けの改善には時間がかかります。しかし逆に言えば、今すぐ動き始めることで3年後の資金調達力が大きく変わります。「格付けは変えられる」ことを実感した事例です。


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よくある質問(FAQ)


Q1. 自分の会社の格付けを知る方法はありますか?

直接確認する方法はありません。ただし担当者との会話の中で「プロパー融資の可否」「金利の提示水準」「審査スピード」などから間接的に推測できます。条件が改善されていれば格付けが上がっているサイン、逆に条件が厳しくなっていれば下がっているサインです。


Q2. 格付けはどのくらいの頻度で見直されますか?

金融機関によって異なりますが、一般的に決算書提出後に見直されます。つまり年1回の決算が格付けの評価タイミングです。月次試算表の提出により期中でも情報が更新されるため、業績改善がリアルタイムで評価に反映されやすくなります。


Q3. 節税で利益を圧縮すると格付けにどう影響しますか?

営業利益・経常利益が下がるため財務スコアが低下し、格付けが下がるリスクがあります。特に赤字決算は格付けに大きなマイナス影響を与えます。節税と格付け維持のバランスを意識した決算設計が重要です。


Q4. 新規で融資を申し込む場合、格付けはどう形成されますか?

取引実績がない場合は、提出した決算書・事業計画書・代表者の信用情報をもとに初期格付けが形成されます。創業間もない会社は実績が少ないため、財務内容の透明性・経営計画の具体性・代表者の経歴などが特に重視されます。


Q5. 格付けが下がった後、回復するにはどのくらいかかりますか?

一般的に2〜3期(2〜3年)の継続した業績改善が必要です。単年の黒字化だけでなく「安定した黒字の継続」が評価されます。月次資料の定期提出・経営計画の着実な実行・担当者とのコミュニケーションを継続することで、回復を早めることができます。


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まとめ


  • 銀行の格付けは非公開だが、融資の可否・金利・期間・条件をすべて左右する

  • 評価軸は① 財務スコア(自己資本比率・営業利益率・債務償還年数)、② 定性評価(経営姿勢・情報共有)、③ 与信履歴の3つ

  • 格付けが下がると融資が制限・金利上昇・長期融資が難しくなる

  • 改善の5つのアクション:① 月次資料の定期提出、② 営業利益の安定黒字、③ 自己資本の積み上げ、④ 経営計画書の提出、⑤ 税理士の関与の明示

  • 格付け改善には2〜3年かかるが、今すぐ動き始めることで3年後の資金調達力が変わる


格付けは見えないが、変えられます。数字と姿勢を継続的に整えることが、銀行から評価される会社への第一歩です。


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