top of page
検索

事業承継・M&Aを見据えた経営戦略のポイント

  • yusukekondo9
  • 5月20日
  • 読了時間: 3分

1. はじめに


近年、後継者不足や経営者の高齢化、企業価値の最大化を背景に、「事業承継」や「M&A」に取り組む中小企業が増えています。

特に年商5億円を目指す成長企業にとっては、今から将来の承継や売却を視野に入れた“経営戦略”が重要です。ただし、売上や利益が出ているだけでは、承継やM&Aは成功しません。求められるのは、企業としての「組織的体制」「財務の健全性」「ガバナンス」「価値の見える化」です。

本記事では、事業承継やM&Aを見据えて今から整備すべきポイントを、税理士の視点で解説します。



2. 事業承継・M&Aの現状と背景


  • 後継者難による“黒字廃業”のリスクが顕在化

  • 中小企業M&A市場は拡大し、第三者承継のチャンスも増加

  • 後継者が社内・親族にいる場合も、財産・経営の分離と準備が必要


📌 事業承継・M&Aは「いずれ考える」ではなく、「今から準備する」時代へ



3. 事前に整えておくべき“経営の見える化”


✅ 財務内容の整理と説明可能性

  • 3期分以上の月次試算表、損益・貸借・キャッシュフローの整合性を整備

  • 税務上の節税に偏った決算から、「企業価値が伝わる決算」へ移行


✅ 実態とのズレの解消

  • 個人支出や役員報酬の調整、取引先との関係整理

  • 株主構成や借入の個人保証・担保状況の明確化


✅ 売上・利益の構造整理

  • 主力事業の採算性を明示

  • 顧客依存や仕入先依存の状況を分析し、分散化を進める


📌 企業の価値は「将来の稼ぐ力」+「仕組み化」+「説明できる数字」で評価される



4. 承継・M&Aを有利に進める経営戦略の実践


🔹 定量的な経営指標の管理体制

  • 月次でのPL・BS・CF管理体制を構築し、経営の透明性を高める

  • KPI(重要業績指標)による業績管理を導入


🔹 収益構造の多角化と安定化

  • 収益源が1社や1事業に集中しているとリスク評価が下がる

  • サブスクリプション化・ストック収益化などの導入も効果的


🔹 組織体制・人材育成の強化

  • 経営者依存をなくし、管理職層やナンバー2の育成を進める

  • 就業規則・労務管理体制を整備


🔹 自社の「強み・価値」を言語化する

  • 財務数値だけでなく、技術・ブランド・地域との関係性などの“定性的価値”をまとめる

  • 経営理念やビジョンを明文化し、後継者や買い手に「共感」を与える



5. 税理士ができる支援


  • 企業価値の算定(DCF法、類似会社比準法など)

  • 役員報酬や貸付金などの調整シミュレーション

  • 財務・税務の整理と事業承継税制の活用支援

  • 売却スキーム構築・M&Aアドバイザーとの連携



6. まとめ


✅ 事業承継・M&Aは経営の出口戦略ではなく、「成長戦略の一部」と捉える

✅ 財務・組織・人材・数字管理体制の整備が企業価値を決める

✅ 数値とストーリーを明示し、将来に引き継げる「仕組みのある会社」を目指す

✅ 税理士とともに“引き継がれるための経営”を今から整えていこう

 
 
 

最新記事

すべて表示
固定費と変動費の分類と経営戦略|利益率改善の第一歩

はじめに 「売上は増えているのに、なぜか利益が出ない・・・」 こうした悩みを持つ中小企業経営者は少なくありません。 その原因の多くは、 コスト構造が見えていない ことにあります。 とりわけ、「固定費」と「変動費」の区分を明確にすることで、 利益構造の見える化 損益分岐点の把握 意思決定のスピードアップ につながり、企業の利益体質を強化することが可能です。 この記事では、税理士の視点から、固定費と変

 
 
 
交際費・会議費の見せ方と実効性の違い|税務と金融機関評価の分岐点

はじめに 中小企業の経営者にとって「交際費」と「会議費」の分類は、単なる勘定科目の話にとどまりません。 税務上の損金算入の可否 金融機関からの印象(見せ方) といった2つの観点で大きな意味を持ちます。 本記事では、税理士の視点から、交際費・会議費の実務的な使い分けと金融機関との関係性を整理し、適正な処理とリスクヘッジのポイントを解説します。 交際費とは ■ 税務上の定義(法人税法第61条の4) 「

 
 
 
役員報酬と利益のバランスの取り方~中小企業が見落としがちな資金繰りと評価の視点~

はじめに 「節税のために役員報酬を多く取って、法人の利益を抑えたい」 こうした考え方は多くの中小企業で見られます。確かに、役員報酬は法人の損金になり、法人税の軽減に繋がります。 しかし、役員報酬の増加に伴い、 社会保険料の負担も増加 し、加えて 個人の所得税は累進課税 であるため、一定以上の報酬額になると 法人・個人トータルでの税負担が増える可能性が高くなります 。 この記事では、税務・財務・金融

 
 
 

コメント


近藤祐輔税理士事務所

Yusuke Kondo Tax Accounting Office

〒279-0023 千葉県浦安市高洲8丁目1番714

​TEL:047-707-3714

©2025 近藤祐輔税理士事務所

bottom of page