損金・益金の考え方と会計との違い〜「会計で費用でも、税務では損金にならない」その理由を知っていますか?〜
- yusukekondo9
- 2 日前
- 読了時間: 3分
法人税の計算においては、「損金」「益金」という言葉が頻出します。これらは会計上の「費用」「収益」と似ているようで、本質的に別物です。
この記事では、「損金・益金とは何か?」「会計と何が違うのか?」「どんなときにズレが生じるのか?」を、実務でよくある例とともに解説します。
I.「損金」と「費用」は違う?
まず押さえておきたいのは、損金 ≠ 会計上の費用という事実です。
用語 | 定義 | 使用場面 |
費用 | 会計基準に従って、収益との対応をもとに記録されるもの | 決算書(P/L)上 |
損金 | 法人税法に基づき、「課税所得を計算するために控除できる金額」 | 税務申告書(別表四)上 |
つまり、会計では費用として処理されていても、税務上は「損金と認められない」ことがあります。この違いこそが、「会計と税務のズレ」や「法人税額の予想外の増減」の原因なのです。
II. 益金と収益の違いも同様
益金もまた、会計上の「収益」とは異なる概念です。
用語 | 定義 | 例 |
収益 | 商品販売などによる売上など(発生主義) | 売上高、受取利息 |
益金 | 課税対象となる経済的利益 | 売上、受取配当金、雑収入など(現金主義に近い) |
会計では売上を計上していても、税務上はまだ益金とされないこともあります。
III. よくある「損金にならない費用」の実例
費用の内容 | 会計上の扱い | 税務上の扱い | 理由・注意点 |
交際費 | 費用として計上 | 損金算入に上限あり(中小企業800万円まで) | 上限超過分は加算 |
減価償却費 | 任意償却可能 | 法定耐用年数・償却率に従う | 超過償却は加算対象 |
引当金(賞与、退職給付等) | 会計処理可 | 原則損金不算入(条件あり) | 確定要件が必要 |
寄附金 | 全額費用計上 | 一部しか損金算入できない | 上限を超えると加算 |
役員給与 | 経常費用 | 事前届出がなければ損金否認 | 「事前確定届出給与」が必要 |
社長個人の経費 | 会社経費として処理 | 私的支出とみなされると否認 | 税務調査で指摘されやすい |
✅ ポイント:「会計上OK=法人税計算でもOK」とは限らない。税法のルールを別途確認する必要があるのです。
IV. 会計と税務がズレる理由
この違いは、会計と税務の目的の違いに起因しています。
観点 | 会計 | 税務 |
目的 | 利害関係者への正確な業績報告 | 公平で確実な課税 |
タイミング | 発生主義 | 現金主義に近い原則あり |
基準 | 会計基準(企業会計原則) | 法人税法・通達 |
税務は、「課税ルールを厳格に適用して脱税を防ぐ」という目的のため、会計よりも保守的で厳しい面があります。
V. 実務における対応方法
経営者として、以下のような姿勢が大切です:
会計上の費用が全て損金になるとは思わないこと
税務上の損金・益金調整は、必ず顧問税理士と確認すること
節税だけでなく、銀行評価・経営判断とのバランスをとること
税務調整の内容は、法人税申告書の「別表四」「別表五」で確認できます。経営者として概要だけでも把握しておくと、税理士とのコミュニケーションがスムーズになります。
まとめ|「損金になる/ならない」を知ることは経営判断力の向上
会計上の利益 ≠ 課税所得
費用 ≠ 損金、収益 ≠ 益金
この違いを理解することが、「納税の正確性」と「経営の透明性」につながります。
年商5億円を目指す企業にとって、損益の実態を把握し、税法上の制限も理解したうえで意思決定を行うことが、節税と財務健全性の両立につながります。
コメント