top of page

販管費の分析方法|利益が出ない会社のコスト構造

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年11月6日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月21日


はじめに|「販管費」は経営者の“素”が出る場所


損益計算書(PL)を見るとき、売上や利益にまず目が行きがちですが、税理士の目線では、「販管費(販売費及び一般管理費)」の内訳にこそ、その会社の経営体質や社長の癖がよく表れると感じています。

販管費は、売上に直接は結びつかないが、事業運営に不可欠な“使うお金”。だからこそ、その使い方には「その会社らしさ」や「社長の意思」が色濃く出るのです。



1. 販管費とは?|「見えづらいコスト」の正体


✅ 販管費の主な科目

区分

内容

人件費関連

給与手当、賞与、役員報酬、法定福利費など

営業関連

広告宣伝費、販売促進費、交際費、旅費交通費など

管理業務

通信費、消耗品費、水道光熱費、会議費、外注費など

組織運営

地代家賃、保険料、研修費、諸会費など

📌 販管費は、“固定費”に近い性質のものが多く、売上が減ってもすぐには減らせないため、経営効率や体質を測るうえで極めて重要な分析対象になります



2. 数字から読み取れる“経営の癖”の事例


販管費の科目ごとに、税理士が実際に感じる「社長の経営スタンスや性格」を読み取ってみましょう。


① 交際費が突出して高い → 「人付き合い重視型」

  • 飲食・贈答・ゴルフなどに積極投資

  • 人脈づくりが強みだが、費用対効果を検証していないことも多い

  • 税務署・銀行からは「利益圧縮に見える」と思われる場合も


② 広告宣伝費が年々増加 → 「攻めのマーケ型」

  • Web広告やSNS運用、紙媒体などを戦略的に活用

  • 売上との連動性があれば評価は高いが、効果測定の仕組みがあるかが重要


③ 外注費が高く人件費が低い → 「効率重視のアウトソーサー型」

  • 社員を抱えず、業務委託やフリーランス活用が中心

  • スリムな経営に見えるが、属人化や品質リスクも内包


④ 会議費・研修費が高い → 「組織開発・人材育成志向型」

  • 社員とのコミュニケーションを重視

  • 長期的な成長を見据えた投資といえるが、“中身”が問われる


📌「どれが良い・悪い」ではなく、数値が“意図ある支出”かどうかが重要です



3. 税務上の注意ポイント


販管費は税務調査でもチェックが厳しくなる分野のひとつです。


✅ よく見られる科目と調査の視点

科目

チェックされやすい理由

交際費

損金不算入枠や飲食費除外規定の適用判断が難しい(※10,000円基準)

会議費

実態が交際費とされることもある(飲食が伴う場合)

福利厚生費

一部の従業員だけが対象になっていないか

旅費交通費

家族旅行・私的出張等の混同リスク

通信費・雑費

内容不明だと否認されやすい(領収書管理が必要)

「帳簿上はOKでも、説明が不十分だと否認されるリスクがある」ため、「支出の目的や対象、証憑の整理」が非常に重要になります



4. 経営分析における販管費の活用方法


① 売上比での推移を見る(販管費率)

式:販管費 ÷ 売上高 × 100(%)

  • 10〜30%が目安(業種による)

  • 年度ごとに上昇していれば、「利益圧迫の要因」になっている可能性あり

  • 急増している科目は、“一過性”か“構造的”かを見極める


② 人件費率をチェック

  • 役員報酬を含めた「総人件費 ÷ 売上高」の推移を確認

  • 利益率が落ちているのに人件費率が上がっていれば、構造的な問題が潜むことも


③ 科目別前年比分析

科目

前期

当期

増減率

広告宣伝費

300万

500万

+66.7%

交際費

120万

130万

+8.3%

旅費交通費

80万

160万

+100.0% ←※要確認

📌このように、数字で異常値を見つけると、「社長がどこに力を入れているか」が見えてきます



5. 改善のアプローチ|“癖”を知って“戦略的に使う”


販管費は「悪者」ではありません。むしろ、戦略的に使えば売上・人材・ブランドを育てる源泉になります。


✅ 見直しと改善のステップ

  1. 科目ごとの月次推移・前年比分析を行う

  2. 経費の中身を見直し、「戦略的支出」か「惰性支出」かを分類

  3. 必要に応じて科目を統合・分割し、管理しやすくする

  4. “見せる”販管費として、銀行や投資家に説明できる資料を用意



まとめ|販管費を見れば「経営の地図」が読める

ポイント

内容

使い方

経営の価値観が表れる「経費の顔」

税務上の注意

交際費・福利厚生費などの処理には慎重さが必要

分析視点

売上比・前年比・KPI連動で中身を可視化

改善の方向性

数字に基づく戦略的な経費配分が鍵

販管費は、「ムダ」ではなく「投資」に変えられる。その第一歩は、「社長の癖」を数字から見つめ直すことです。



税務・財務戦略や銀行融資についてのご相談はお気軽にお問い合わせください。

最新記事

すべて表示
PL・BS・CFの違い|決算書3表の役割をわかりやすく解説

はじめに 「決算書は見ています」 そうおっしゃる社長は多いですが、 PLしか見ていない BSはなんとなく CFは作っていない というケースがほとんどです。 年商3億円を超え、5億円を目指すなら―― “CFO視点”で数字を見る習慣 が不可欠です。 *****************************************************************************

 
 
 
決算書の読み方の基本|年商3億円を超える社長が最初に見るべき3つの数字

はじめに 年商5億円を目指すなら、まずは3億円の壁を突破する必要があります。 しかし―― 「決算書は見ているけど、正直よく分かっていない」 という社長は少なくありません。 社長: 先生、決算書って結局どこを見ればいいんですか?売上と利益だけ見ていれば十分ですよね? 税理士: その2つだけだと、まだ半分です。 まず見るべきはこの3つです。 粗利益率 営業キャッシュフロー 自己資本比率 社長: え、営

 
 
 

コメント


近藤祐輔税理士事務所

Yusuke Kondo Tax Accounting Office

〒279-0023 千葉県浦安市高洲8丁目1番714

​TEL:047-707-3714

©2026 近藤祐輔税理士事務所

bottom of page