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販管費の内訳分析で見える“経営の癖”~数字は社長の性格を映す鏡~

  • yusukekondo9
  • 2025年11月6日
  • 読了時間: 4分

はじめに|「販管費」は経営者の“素”が出る場所


損益計算書(PL)を見るとき、売上や利益にまず目が行きがちですが、税理士の目線では、「販管費(販売費及び一般管理費)」の内訳にこそ、その会社の経営体質や社長の癖がよく表れると感じています。

販管費は、売上に直接は結びつかないが、事業運営に不可欠な“使うお金”。だからこそ、その使い方には「その会社らしさ」や「社長の意思」が色濃く出るのです。



1. 販管費とは?|「見えづらいコスト」の正体


✅ 販管費の主な科目

区分

内容

人件費関連

給与手当、賞与、役員報酬、法定福利費など

営業関連

広告宣伝費、販売促進費、交際費、旅費交通費など

管理業務

通信費、消耗品費、水道光熱費、会議費、外注費など

組織運営

地代家賃、保険料、研修費、諸会費など

📌 販管費は、“固定費”に近い性質のものが多く、売上が減ってもすぐには減らせないため、経営効率や体質を測るうえで極めて重要な分析対象になります



2. 数字から読み取れる“経営の癖”の事例


販管費の科目ごとに、税理士が実際に感じる「社長の経営スタンスや性格」を読み取ってみましょう。


① 交際費が突出して高い → 「人付き合い重視型」

  • 飲食・贈答・ゴルフなどに積極投資

  • 人脈づくりが強みだが、費用対効果を検証していないことも多い

  • 税務署・銀行からは「利益圧縮に見える」と思われる場合も


② 広告宣伝費が年々増加 → 「攻めのマーケ型」

  • Web広告やSNS運用、紙媒体などを戦略的に活用

  • 売上との連動性があれば評価は高いが、効果測定の仕組みがあるかが重要


③ 外注費が高く人件費が低い → 「効率重視のアウトソーサー型」

  • 社員を抱えず、業務委託やフリーランス活用が中心

  • スリムな経営に見えるが、属人化や品質リスクも内包


④ 会議費・研修費が高い → 「組織開発・人材育成志向型」

  • 社員とのコミュニケーションを重視

  • 長期的な成長を見据えた投資といえるが、“中身”が問われる


📌「どれが良い・悪い」ではなく、数値が“意図ある支出”かどうかが重要です



3. 税務上の注意ポイント


販管費は税務調査でもチェックが厳しくなる分野のひとつです。


✅ よく見られる科目と調査の視点

科目

チェックされやすい理由

交際費

損金不算入枠や飲食費除外規定の適用判断が難しい(※10,000円基準)

会議費

実態が交際費とされることもある(飲食が伴う場合)

福利厚生費

一部の従業員だけが対象になっていないか

旅費交通費

家族旅行・私的出張等の混同リスク

通信費・雑費

内容不明だと否認されやすい(領収書管理が必要)

「帳簿上はOKでも、説明が不十分だと否認されるリスクがある」ため、「支出の目的や対象、証憑の整理」が非常に重要になります



4. 経営分析における販管費の活用方法


① 売上比での推移を見る(販管費率)

式:販管費 ÷ 売上高 × 100(%)

  • 10〜30%が目安(業種による)

  • 年度ごとに上昇していれば、「利益圧迫の要因」になっている可能性あり

  • 急増している科目は、“一過性”か“構造的”かを見極める


② 人件費率をチェック

  • 役員報酬を含めた「総人件費 ÷ 売上高」の推移を確認

  • 利益率が落ちているのに人件費率が上がっていれば、構造的な問題が潜むことも


③ 科目別前年比分析

科目

前期

当期

増減率

広告宣伝費

300万

500万

+66.7%

交際費

120万

130万

+8.3%

旅費交通費

80万

160万

+100.0% ←※要確認

📌このように、数字で異常値を見つけると、「社長がどこに力を入れているか」が見えてきます



5. 改善のアプローチ|“癖”を知って“戦略的に使う”


販管費は「悪者」ではありません。むしろ、戦略的に使えば売上・人材・ブランドを育てる源泉になります。


✅ 見直しと改善のステップ

  1. 科目ごとの月次推移・前年比分析を行う

  2. 経費の中身を見直し、「戦略的支出」か「惰性支出」かを分類

  3. 必要に応じて科目を統合・分割し、管理しやすくする

  4. “見せる”販管費として、銀行や投資家に説明できる資料を用意



まとめ|販管費を見れば「経営の地図」が読める

ポイント

内容

使い方

経営の価値観が表れる「経費の顔」

税務上の注意

交際費・福利厚生費などの処理には慎重さが必要

分析視点

売上比・前年比・KPI連動で中身を可視化

改善の方向性

数字に基づく戦略的な経費配分が鍵

販管費は、「ムダ」ではなく「投資」に変えられる。その第一歩は、「社長の癖」を数字から見つめ直すことです。



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