事業承継・M&Aで差がつく!金融機関との連携が未来の資金調達を左右する理由とは?
- yusukekondo9
- 7月22日
- 読了時間: 4分
はじめに
「事業承継やM&Aは専門家に任せればいい」「銀行には話さなくても大丈夫でしょう?」
そんな風に考えていませんか?
実は、事業承継やM&Aの成否を左右するのは、金融機関との“事前連携”です。経営が変わるタイミングは、金融機関にとっても“信用を再評価するタイミング”でもあるからです。
今回は、事業承継・M&A時における金融機関との関係構築の重要性と、連携をとることで得られる具体的なメリットについて詳しく解説します。
1. 金融機関は「経営者交代=リスク」と見ている
事業承継やM&Aで経営者が変わると、金融機関は以下のような懸念を抱きます。
懸念点 | 内容 |
経営方針の変化 | 事業モデルが変わるのでは?という不安 |
経営能力の未知数 | 後継者の資質・経験・数字への理解度 |
既存借入の継続可否 | 「代表者変更=債務保証者変更」への対応 |
融資判断の再検討 | 担保・信用格付けの見直しが必要に |
📌 この時に何も説明がなければ、金融機関は「様子見」→「融資停止」も選択肢に入れてきます
2. 金融機関と連携しておく3つのメリット
① 借入継続の“安心感”を得られる
経営交代後も、従前の条件で借入が継続されやすい
保証人変更や契約見直しの手続きをスムーズに進められる
② 承継後の資金調達が有利になる
後継者が“信頼できる経営者”と判断されれば、プロパー融資への切り替えも可能
承継後の新展開(設備投資・人材採用など)への融資提案も受けやすい
③ M&Aの相手先との信用調整ができる
買い手・売り手の双方が、金融機関の信用の“橋渡し”を受けられる
融資付けのM&A(LBOなど)も含めた資金スキームの提案が可能に
3. 実際の連携ステップ(事業承継編)
時期 | やること | 補足 |
承継1年前 | 金融機関に後継者候補の紹介 | 顔合わせ、事業理解を深める |
承継6か月前 | 後継者が同席で面談・資金繰り共有 | 月次試算表の説明や財務報告の習慣化 |
承継1か月前 | 借入契約の名義変更/保証人変更手続き | 専門家(税理士・弁護士)同席が望ましい |
承継後 | 新体制の報告、事業計画の共有 | 「今後の方針」と「信頼の維持」が鍵 |
4. 実際の連携ステップ(M&A編)
ステージ | 金融機関と連携する内容 |
売却側の段階 | 財務デューデリ対応・負債条件の開示 |
買収交渉時 | LBOスキームの可能性、融資可否の事前相談 |
成約直後 | 取引先口座の一本化/借入統合の調整 |
成約後1年 | 決算報告・経営方針共有による信頼再構築 |
5. 実例紹介①:家族承継+信金との関係強化でスムーズな融資承継(製造業・年商2億円)
ある製造業では、創業社長から長男への承継にあたり、以下を実行:
信用金庫に後継者を1年前から紹介し、営業同行にも参加
月次で財務報告を開始、後継者が数字の説明も担当
借入の保証人変更を税理士同席でスムーズに実施
結果:
承継後、信金側から「今後の設備投資計画はありますか?」と逆提案があり、後継者が主導するプロパー融資が初めて実行されました
6. 実例紹介②:M&A後の金融機関連携でスムーズな統合実現(IT業・買収側)
買収を検討していたIT企業が、売却側企業のメインバンク(地方銀行)と早期連携:
売却対象の借入内容と今後の取引スタンスを事前に確認
買収後の資金繰りシミュレーションと運転資金の新規融資を同時に相談
結果:
M&A後2週間で運転資金2,000万円の新規融資が実行され、スムーズな統合運営が実現
まとめ:「事業が変わるとき」こそ、金融機関と手を組むとき
事業承継やM&Aは、企業にとって“信頼の再構築”のタイミングでもあります。その際、金融機関が「この会社なら、今後も支援したい」と思えるかどうかが、資金調達や経営の安定に直結します。
✅ 経営者へのアドバイス
経営が変わるタイミングでは「自分から動く」ことが大切
金融機関との対話を通じて、「変わらない信用」を維持しましょう
顧問税理士と連携しながら、金融機関への報告・手続き・説明を一貫性ある形で進める必要あり
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