銀行が納得する説明資料とは?~経営計画と金融機関向け資料の決定的な違いと作成のコツ~
- yusukekondo9
- 7月31日
- 読了時間: 3分
はじめに
「しっかり経営計画を作ったのに、銀行の反応がいまいちだった」「経営戦略は自信があるけど、融資審査では否定された…」そんな経験はありませんか?
実は、経営計画と銀行向け説明資料は“目的”も“作り方”も大きく異なります。
今回は、両者の違いと、金融機関が納得する説明資料を作るためのポイントを具体的に解説します。
1. 「経営計画」と「銀行向け資料」の違いとは?
比較項目 | 経営計画 | 銀行向け説明資料 |
目的 | 社内共有・事業方針の可視化 | 融資審査・返済可能性の説明 |
想定読者 | 社員・役員・取締役など | 融資担当者・審査部門 |
重視する内容 | ビジョン、成長戦略、理念 | 資金使途、キャッシュフロー、担保、返済原資 |
フォーマット | パワポ・Word・スライドなど自由 | 数字ベース+文書資料(Excel・PDFなど) |
📌 金融機関は「情熱や理念」ではなく、“数字と根拠”で判断します
2. 銀行が重視する3つのポイント
① 資金の使い道が具体的で明確か
「〇〇のためにいくら必要か」が明確か
単なる“ざっくりした運転資金”ではなく、内訳(人件費・仕入・設備など)の提示が必要
② 返済財源が現実的か
借入金を「どうやって返すか」がポイント
営業キャッシュフロー、売上・利益の推移、コスト構造に説得力があるか
③ 数字の整合性と妥当性があるか
売上目標が急激に跳ね上がっていないか
コスト増・利益率・人件費など、業種平均に比べて違和感がないか
月次試算表・資金繰り表とのつながりがあるか
3. 銀行向け資料の基本構成(モデル例)
セクション | 内容 |
① 表紙 | 会社名、代表者名、作成日、対象期間 |
② 会社概要 | 事業内容・沿革・組織・拠点 |
③ 借入目的 | 使途の明記(例:設備資金/運転資金など) |
④ 事業計画 | 今後3~5年の売上・利益・キャッシュフロー予測 |
⑤ 財務資料 | 月次試算表、資金繰り表、過去2~3期の決算比較表 |
⑥ 強み・競合分析 | 自社の優位性、差別化ポイント |
⑦ リスク対策 | 想定される課題と対策案(例:売上未達時の対応など) |
⑧ 返済計画 | 借入額に対する月次・年次返済シミュレーション |
📌 税理士が関与している場合は、「財務資料の整合性・信頼性」が高く評価されます
4. 作成時の“説得力”を高めるポイント
定量と定性のバランス
数字だけでなく、“どのようにその数字を実現するか”の説明も加える
例:「販路拡大 → 既存取引先の追加発注+EC強化」など
「過去→現在→未来」の流れを意識
単なる将来予測ではなく、「これまでこうだったから、今後こうなる」の構成が◎
グラフ・図表の活用
キャッシュフローの推移、売上構成、返済計画などはビジュアル化で理解度UP
5. 実例:銀行向け資料の刷新で希望融資額満額を獲得(飲食業・年商1.5億)
ある飲食業のクライアントは、新店舗出店資金として4,000万円を希望。最初の資料では「返済可能性が弱い」として2,500万円しか融資決定されませんでした。
税理士と連携して、以下を実施:
月次試算表と資金繰り表を添付し、返済原資を明確化
出店場所の市場調査、損益シミュレーションを加える
リスク対策として「売上未達時の費用圧縮計画」も提示
結果:審査期間短縮+満額融資+金利優遇条件での実行に成功
✅ 経営者へのアドバイス
経営計画は“夢を語る”、銀行向け資料は“根拠を示す”もの
融資の成否は、資料の質と“説明力”で大きく左右されます
顧問税理士と連携し、信頼性・一貫性・具体性を備えた資料作成を心がけましょう
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