キャッシュフロー計算書(C/F)の構造と資金繰りの把握方法〜黒字倒産を防ぐために、経営者が今すぐ見るべきキャッシュの動き〜
- yusukekondo9
- 11 分前
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「利益は出ているのに資金が足りない…」このような悩みを抱える経営者は少なくありません。その原因と実態を最も正確に把握できる資料が「キャッシュフロー計算書(C/F)」です。
今回は、キャッシュフロー計算書の基本構造と、実際の資金繰りをどう読み解けばよいかを、経営者向けにわかりやすく解説します。
I. キャッシュフロー計算書とは?
キャッシュフロー計算書(C/F)は、会社に実際に入ってきた現金と出ていった現金の流れを3つの区分に分けて示すものです。「資金繰り表」とは異なり、財務諸表の一部として決算書に含まれます。
キャッシュフロー計算書の3区分
区分 | 内容 | 例 |
営業活動によるキャッシュフロー | 本業による現金の増減 | 売上入金、仕入支払、人件費、税金など |
投資活動によるキャッシュフロー | 設備・資産の購入や売却 | 建物・機械の購入、投資有価証券の取得など |
財務活動によるキャッシュフロー | 借入・返済・資本調達 | 借入金、返済、増資、配当など |
この3つのキャッシュフローを合計したものが、「現金及び現金同等物の増減額」となり、前期からの資金の増減を示します。
II.「黒字倒産」が起きるのはなぜか?
損益計算書上は利益が出ていても、キャッシュが減っていることがあります。このズレが大きくなると、「黒字でも倒産(黒字倒産)」という最悪の事態が起こります。
黒字倒産を引き起こす3大要因
売掛金の回収遅れ → 売上は計上されても現金が手元にない
在庫の増加 → 現金が商品に変わったまま売れていない
借入金の元本返済 → P/Lには出てこないが、現金は確実に出ていく
このようなリスクを可視化できるのが、キャッシュフロー計算書です。
III. 経営者が見るべきキャッシュフローのチェックポイント
以下の項目は、金融機関や投資家も注目する重要な観点です。
1. 営業キャッシュフローがプラスか?
営業活動によるキャッシュフローがプラスで安定しているかどうかは、会社の生命線です。
マイナスが続くと「本業が資金を生んでいない」と判断される
税金や借入返済をまかなう源になる
💡ポイント:営業C/Fが赤字なのに、純利益が黒字 → 要注意!
2. 投資キャッシュフローは戦略的か?
設備投資やM&Aなど、未来への投資は一時的にキャッシュを減らしますが、中長期的な利益の源泉になります。
「減価償却費以上の設備投資」が継続していないか?
投資回収のシナリオが見えているか?
💡ポイント:一時的な大幅マイナスは悪ではない。戦略との整合性が重要。
3. 財務キャッシュフローが事業ステージと合っているか?
創業期・拡大期:借入・増資などでプラスが多い
安定期:返済・配当などでマイナスが増える
💡ポイント:借入に依存して営業C/Fがマイナス → 要注意(自転車操業の可能性)
IV. 金融機関がキャッシュフロー計算書を見る理由
銀行は、「この会社が返済能力を持っているか」をキャッシュベースで判断します。特に以下のような点を見ています:
チェック項目 | 見られる意図 |
営業C/Fが安定して黒字か | 事業として自走しているか |
借入に頼らず投資ができているか | 内部留保が活かされているか |
財務C/Fに異常値がないか | 一時的な資金調整がないか |
利益は操作できますが、キャッシュの動きはごまかせないため、信頼性の高い資料として重視されます。
V. 資金繰り管理にどう活かすか?
キャッシュフロー計算書は決算期に作成されるものですが、月次で資金繰り表を作成する習慣と併せて使うことで、以下のようなメリットがあります:
「資金が減っている理由」が明確になる
次の投資や借入のタイミングを判断できる
金融機関との面談で的確な説明ができる
特に成長企業ほど、資金が「売上の増加」によって吸い取られる傾向があるため、C/Fの定点観測が不可欠です。
まとめ|「キャッシュは会社の血液」である
キャッシュフロー計算書は、会社にとっての「血液の流れ」を見る資料です。これを読める経営者は、資金繰りで迷わず、金融機関からの信頼も獲得できます。
年商5億円を目指す経営者は、次の行動を習慣にしましょう:
✅ 決算後は必ずキャッシュフロー計算書をチェックする
✅ 営業C/Fの黒字化を経営の第一目標に据える
✅ 月次の資金繰り表と連動させてC/Fを活用する
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