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キャッシュフロー計算書(C/F)の構造と資金繰りの把握方法〜黒字倒産を防ぐために、経営者が今すぐ見るべきキャッシュの動き〜

  • yusukekondo9
  • 11 分前
  • 読了時間: 4分

「利益は出ているのに資金が足りない…」このような悩みを抱える経営者は少なくありません。その原因と実態を最も正確に把握できる資料が「キャッシュフロー計算書(C/F)」です。

今回は、キャッシュフロー計算書の基本構造と、実際の資金繰りをどう読み解けばよいかを、経営者向けにわかりやすく解説します。



I. キャッシュフロー計算書とは?


キャッシュフロー計算書(C/F)は、会社に実際に入ってきた現金と出ていった現金の流れを3つの区分に分けて示すものです。「資金繰り表」とは異なり、財務諸表の一部として決算書に含まれます。


キャッシュフロー計算書の3区分

区分

内容

営業活動によるキャッシュフロー

本業による現金の増減

売上入金、仕入支払、人件費、税金など

投資活動によるキャッシュフロー

設備・資産の購入や売却

建物・機械の購入、投資有価証券の取得など

財務活動によるキャッシュフロー

借入・返済・資本調達

借入金、返済、増資、配当など

この3つのキャッシュフローを合計したものが、「現金及び現金同等物の増減額」となり、前期からの資金の増減を示します。



II.「黒字倒産」が起きるのはなぜか?


損益計算書上は利益が出ていても、キャッシュが減っていることがあります。このズレが大きくなると、「黒字でも倒産(黒字倒産)」という最悪の事態が起こります。


黒字倒産を引き起こす3大要因

  1. 売掛金の回収遅れ → 売上は計上されても現金が手元にない

  2. 在庫の増加    → 現金が商品に変わったまま売れていない

  3. 借入金の元本返済 → P/Lには出てこないが、現金は確実に出ていく


このようなリスクを可視化できるのが、キャッシュフロー計算書です。



III. 経営者が見るべきキャッシュフローのチェックポイント


以下の項目は、金融機関や投資家も注目する重要な観点です。


1. 営業キャッシュフローがプラスか?

営業活動によるキャッシュフローがプラスで安定しているかどうかは、会社の生命線です。

  • マイナスが続くと「本業が資金を生んでいない」と判断される

  • 税金や借入返済をまかなう源になる


💡ポイント:営業C/Fが赤字なのに、純利益が黒字 → 要注意!


2. 投資キャッシュフローは戦略的か?

設備投資やM&Aなど、未来への投資は一時的にキャッシュを減らしますが、中長期的な利益の源泉になります。

  • 「減価償却費以上の設備投資」が継続していないか?

  • 投資回収のシナリオが見えているか?


💡ポイント:一時的な大幅マイナスは悪ではない。戦略との整合性が重要。


3. 財務キャッシュフローが事業ステージと合っているか?

  • 創業期・拡大期:借入・増資などでプラスが多い

  • 安定期:返済・配当などでマイナスが増える


💡ポイント:借入に依存して営業C/Fがマイナス → 要注意(自転車操業の可能性)



IV. 金融機関がキャッシュフロー計算書を見る理由


銀行は、「この会社が返済能力を持っているか」をキャッシュベースで判断します。特に以下のような点を見ています:

チェック項目

見られる意図

営業C/Fが安定して黒字か

事業として自走しているか

借入に頼らず投資ができているか

内部留保が活かされているか

財務C/Fに異常値がないか

一時的な資金調整がないか

利益は操作できますが、キャッシュの動きはごまかせないため、信頼性の高い資料として重視されます。



V. 資金繰り管理にどう活かすか?


キャッシュフロー計算書は決算期に作成されるものですが、月次で資金繰り表を作成する習慣と併せて使うことで、以下のようなメリットがあります:

  • 「資金が減っている理由」が明確になる

  • 次の投資や借入のタイミングを判断できる

  • 金融機関との面談で的確な説明ができる


特に成長企業ほど、資金が「売上の増加」によって吸い取られる傾向があるため、C/Fの定点観測が不可欠です。



まとめ|「キャッシュは会社の血液」である


キャッシュフロー計算書は、会社にとっての「血液の流れ」を見る資料です。これを読める経営者は、資金繰りで迷わず、金融機関からの信頼も獲得できます。


年商5億円を目指す経営者は、次の行動を習慣にしましょう:

✅ 決算後は必ずキャッシュフロー計算書をチェックする

✅ 営業C/Fの黒字化を経営の第一目標に据える

✅ 月次の資金繰り表と連動させてC/Fを活用する

 
 
 

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