創業時に日本政策金融公庫を活用するメリットと注意点とは?~創業融資を成功させるための実務ポイントを徹底解説~
- yusukekondo9
- 5 日前
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はじめに
創業したばかりの経営者にとって、事業を軌道に乗せるには一定の資金が必要です。しかし、民間の銀行は創業直後の企業には慎重な姿勢を取ることが多く、実績のない企業に対してはなかなか融資が下りません。
そこで多くの創業者が活用しているのが、「日本政策金融公庫」の創業融資制度です。
本記事では、創業時における日本政策金融公庫の活用メリットと、実務上の注意点について、税理士の視点から詳しく解説いたします。
1. 日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫(略称:公庫)は、政府100%出資の政策金融機関であり、民間金融機関では対応が難しいような創業者や小規模事業者に対しても積極的に融資を行っています。
国の政策に基づく支援機関
創業から2年以内の企業・個人事業主が主な対象
担保や保証人がなくても融資を受けられる制度がある
2. 創業時に公庫を利用する主なメリット
2-1. 無担保・無保証での融資が可能(新創業融資制度)
新創業融資制度では、代表者が連帯保証人になる必要すらないケースもあり、起業のハードルが大幅に下がります。
融資金額の目安:300万~1,500万円程度
融資期間:5~7年が一般的
金利:概ね1.5~2.5%前後(時期や制度により異なる)
📝 「無保証人型」を利用するためには、一定の自己資金と整った事業計画が必要です。
2-2. 創業初期でも審査対象となる
民間銀行では「決算書がない=融資対象外」とされがちですが、公庫は事業計画書と自己資金が評価の中心です。
売上実績がなくても申請可能
将来性・熱意・事業の構想が評価される
📌 金融機関にとって最もリスクが高い“ゼロからの挑戦”を支援してくれる、数少ない機関です。
2-3. 税理士・専門家のサポートによって審査通過率が上がる
創業計画書や収支見通しの書き方、自己資金の説明資料などは、専門家のアドバイスを受けることで現実的で説得力のある資料が作成可能です。
💡 弊事務所でも創業融資支援を多数行っており、「融資申請サポート付き顧問契約」なども提供しています。
3. 創業融資の注意点と落とし穴
3-1. 「自己資金要件」は融資の可否を左右する
自己資金は原則として「総資金額の1/10以上」が必要とされています。ただし、実態としては「見せ金(借りた資金を一時的に入金)ではないか」が厳しく見られています。
給与の積立記録や貯蓄の経緯がわかる通帳が評価される
直前に多額の入金がある場合は説明が必要
3-2. 創業計画書が抽象的だと審査に通りにくい
例えば、「売上 月100万円、利益 月30万円」といった数字だけの計画書では不十分です。
顧客ターゲットは誰か
集客方法はどうするのか(Web/チラシ/人脈 etc.)
経費の内訳に過不足はないか
競合との差別化要因は何か
📌 「現実に即した計画」であることが重要。見栄を張った数値目標は逆効果です。
3-3. 公庫の信用情報にも履歴が残る
一度申し込んで否決されると、半年~1年間は再申請が難しい場合があります。
複数の申込を同時に行うことも控えるべきです。
💬 まずは顧問税理士と相談し、融資の条件が整ってから申請するのが望ましいです。
4. 公庫を活用した“金融階段”戦略
創業時に公庫で資金調達したあと、次のような流れで民間金融機関との取引を構築していくのが理想的です。
① 日本政策金融公庫(創業融資)
↓
② 信用金庫・信用組合(保証協会付き融資)
↓
③ 地方銀行(プロパー融資へ移行)
↓
④ メガバンク・商工中金(大規模展開・M&A資金)
📌 最初の1本目で信頼を得ることが、将来の金融戦略の基礎になります。
5. まとめ:公庫の創業融資は“成長への第一歩”
創業直後は資金調達が難しい時期ですが、日本政策金融公庫はその壁を超えるための強力なパートナーです。ただし、「借りられるなら借りたい」ではなく「返せる前提で借りる」ことが重要です。
✅ 経営者へのアドバイス
創業前後に資金が必要な場合は、まず公庫の融資を検討しましょう。
自己資金や計画書の整備には、税理士等の専門家と連携を。
融資を受けたら「実績を積む」ことで、次の金融機関との取引に繋がります。
創業融資は、あくまでスタートラインです。一歩一歩、信頼を積み重ね、企業の資金力と信用力を育てていきましょう。
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