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売上はあるのに資金が足りない理由を決算書で探る|キャッシュの異常はどこで見抜く?

  • yusukekondo9
  • 16 時間前
  • 読了時間: 2分

はじめに


「売上は順調に伸びているのに、なぜか資金が足りない」

これは多くの中小企業経営者が経験する“見えない資金ショート”です。 利益が出ていても、手元の資金が足りなければ経営は不安定になります。


本記事では、「決算書のどこを見れば資金不足の原因が読み取れるか?」を税理士の視点から解説します。



1.売上があっても資金が不足する主な理由


売上高の増加と、手元資金の増加はイコールではありません。 資金を圧迫する代表的な要因は以下の通りです。


● 売掛金の回収遅延

  • 売上計上はしていても入金は2〜3ヶ月先

  • 実質的に“資金の先出し”になっている


● 在庫の過剰保有

  • 売上に先行して仕入を行っている

  • 現金が“棚卸資産”に変わって寝ている


● 借入金返済の負担

  • 元本返済分は費用にならず利益には現れない

  • キャッシュフロー上では大きなマイナス要因


● 投資支出・納税・賞与等の一時支出

  • 設備投資・税金納付・賞与支給などは一時的に資金を圧迫



2.決算書で“資金の流れ”を読む方法


① 貸借対照表(B/S)のポイント

項目

増加していたら要注意

理由

売掛金

資金回収の遅れ → 資金繰りを圧迫

棚卸資産

現金が在庫に変わり回転しない

未収入金

一時的な売上外の入金遅れ

借入金(短期)

資金ショートを補っている可能性

資産が増えているのに現預金が増えていない場合は、運転資金が資産に固定化されているサインです。


② キャッシュフロー計算書(C/F)がある場合


「営業活動によるキャッシュフロー」がプラスかマイナスかを必ず確認。

  • マイナスなら、日々の事業活動で資金が減っているということ

  • 投資CFがマイナスなら、設備投資等による資金流出が原因



3.実務的な改善アプローチ


● 売掛金回収サイトの見直し

  • 締め日・支払日を短縮できないか交渉

  • 請求書の発行・送付のスピードアップ


● 棚卸資産の圧縮

  • 仕入の適正在庫基準を設ける

  • 回転率の悪い在庫の見直し・処分


● 借入の再構成

  • 短期借入→長期借入へ借換え検討

  • 金利・返済スケジュールの見直し


● 設備投資・税金・賞与の資金繰り表での事前管理

  • 事前に支出月を把握し、CFマップを作成



まとめ:利益ではなくキャッシュで経営を見る


経営者が意識すべきは「利益」よりも「キャッシュの動き」です。 決算書で見るべき箇所を習慣化し、「売上が増えているのに資金が苦しい」 という“見えない病”から脱却しましょう。



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