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役員に賞与を払いたい

  • yusukekondo9
  • 2024年4月8日
  • 読了時間: 3分

このところ一気に春めいてきて上着いらずで外出できるようになりました。先週はダウンを着た日もあった気がしますが。そして半袖だけという日もそう遠くない気がします・・・ 社長や役員に対して賞与を払いたいというご相談を受けることがあります。一般的によく知られているのは役員は毎月の定期給与しか税金の費用(損金)にならないということだと思います。ただ、その他にも一定の手続きを踏めば役員賞与や利益連動給与が損金算入できるケースはあります。 利益連動給与は要件を充足できるのが実質的に上場会社グループに属する会社であり、一般的な中小企業では採用が難しいためここでは割愛します。 役員賞与を払う方法として広く認識されているのが、「事前確定届出給与」です。これは株主総会で賞与を支払うことを決議し、そこから1か月以内(または期首から4か月以内の早い日)に税務署へその旨を届け出ることでその賞与の損金算入が認められるというものです。 この「事前確定届出給与」を使うと、通常の定期給与だけで報酬を支払うより手取り額が増やせる可能性があるのですが、これを狙って極端なケース、毎月の定期報酬を10万円以下にして賞与を1,000万円にするといったことを考える方がいます(YouTubeや節税コンサルタント?が推奨していたりもするらしいですが・・・)。 これですが、賞与に対する社会保険のかかり方が定期給与と異なることで、確かに手取りを増やせるケースがあり、スキーム自体は脱法行為ではありません。なので、極論やりたければやればよいのではないかと思うのですが、個人的にはここまで極端なことをやるのは推奨していません。 というのもこれをやる前提として、多額の賞与を払うための原資を本当にその支払い時までに準備できるか?という問題があり、いくら足元の業績がよくともいつそれが崩れるか誰もわからないと思います。実際、東日本大震災やコロナ禍のような経済の大混乱を事前に誰が予測できたでしょうか?そういった点から、経営においては常にリスクを頭において、極端な楽観主義に基づく経営判断は排除すべきと考えています。 また、別角度から、毎月の定期報酬をそこまで下げてしまうと役員個人の与信に影響を与えないか?といった点も検討がいると思います。 耳障りのよい情報にばかり飛びつくのではなく、それをすることにより不利なことが起きないか慎重に考える(場合によっては外部の専門家に相談する)という姿勢が、長く経営をしていくために一番大事なのではないかと日々感じます。 (事前確定給与の制度自体は問題なく、私自身クライアント様にもお勧めすることもありますが、あくまでも「極端なこと」をするとその反動も大きくなる可能性があるということです)

 
 
 

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