法人住民税・法人事業税の算出と納税スケジュール~中小企業経営者が押さえておくべき基礎と落とし穴~
- yusukekondo9
- 9月11日
- 読了時間: 3分
法人税の確定申告書を作成するとき、「法人住民税」「法人事業税」も一緒に計算する必要があります。しかし、それぞれの税金が「何を根拠に」「いつ」「いくら」納めるのか、明確に把握している経営者は意外と少ないものです。
本記事では、法人住民税・法人事業税の基礎的な仕組みと計算方法、納付スケジュール、注意点について、中小企業経営者・財務責任者の視点でわかりやすく解説します。
I. 法人住民税とは?
法人住民税とは、都道府県・市区町村に納める地方税です。以下の2つの要素から構成されています:
区分 | 説明 | 計算根拠 |
均等割 | 赤字でも必ず発生する、定額の税金 | 資本金・従業員数などに応じて決定(例:7万円〜) |
法人税割 | 法人税額に一定率を乗じて課税 | 法人税額 × 6.0%(市町村)+1.0%(都道府県)など、自治体により異なる |
📌 「法人税を納める=住民税も連動して増える」点に注意しましょう。
II. 法人事業税とは?
法人事業税は、事業を行っていることに対する「対価的性格の税金」で、都道府県に納めます。主に「所得割」が課税されます。
区分 | 税率(例) | 適用対象 |
所得割 | 年800万円以下:3.5%、超:5.3%(資本金1億円以下) | 所得金額(=課税標準) |
付加価値割・資本割 | 一部中堅・大企業にのみ適用(外形標準課税) | 資本金1億円超などが対象 |
※太陽光発電などによる売電収入がある場合には、別途収入割が課されます。
📌 中小企業(資本金1億円以下)には「外形標準課税」は原則適用されません。
III. 地方法人特別税と特別法人事業税
制度改正により、以前存在していた地方法人特別税は廃止され、現在は「特別法人事業税(国税扱い)」が導入されています。
税目 | 種類 | 納付先 |
特別法人事業税 | 事業税に上乗せされる形で計算 | 国税として納付(※申告は都道府県経由) |
IV. 納税スケジュール
法人住民税・法人事業税の納税スケジュールは、法人税の確定申告スケジュールと連動しています。
区分 | 納付時期 | 備考 |
中間申告・納付 | 事業年度開始から6か月後、原則2か月以内 | 通常は「予定申告方式」により前期実績の半額を納付 |
確定申告・納付 | 決算日から2か月以内(例:3月決算→5月末) | 法人税・住民税・事業税を一括で処理 |
📌 地方税の電子申告(eLTAX)やダイレクト納付も普及しています。
V. 実務の注意点と財務インパクト
赤字でも均等割は必ず発生するため、資金繰り見積に入れておく
利益が増えれば住民税・事業税も急増 → 利益率分析と税率の連動に注意
税効果会計(法人税等調整額)にも影響があるため、会計処理に注意
まとめ|税負担は「法人税だけ」ではない
税目 | 税率の目安 | 備考 |
法人税 | 約23.2%(中小法人) | 国税・損金算入可 |
法人住民税 | 約7%(法人税割+均等割) | 地方税・損金算入可 |
法人事業税(+特別法人事業税) | 約10%前後(所得規模による) | 地方税・一部損金不算入のものもあり(税額控除あり) |
📌 すべてを合計すると、中小法人の実効税率は約30%強〜35%程度になることも珍しくありません。
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