税務調査で指摘されやすい決算書の特徴~調査官が“気になるポイント”を知っていますか?~
- yusukekondo9
- 9月26日
- 読了時間: 3分
「税務調査が入るとしたら、ウチはどこを見られるんだろう?」多くの中小企業経営者にとって、税務調査はいつ来るかわからない“経営上のリスク”のひとつです。
特に、決算書には“調査官が違和感を持ちやすいサイン”が表れていることが少なくありません。
本記事では、実際に税務調査で指摘されやすい決算書の特徴について、わかりやすく解説します。
✅ 税務調査の選定理由に「決算書」は大きく関係する
国税庁は、法人税の実地調査の際に「申告内容が適正でない可能性がある」と判断される法人を優先的に調査対象とします。
📌 参考:国税庁『法人税等の調査事績の概要』
「収益や費用の異常な変動、利益率の急減、役員報酬の不自然な増減、棚卸資産の変動」などが調査対象として選定される一因となる― 国税庁:調査選定基準に関する情報より
✅ 税務調査で特に指摘されやすい決算書の“6つの特徴”
1. 売上高・利益が不自然に大きく減っている
前期と比べて売上が急減しているのに、仕入・外注費・人件費があまり減っていない
不況や災害等の理由がなく、説明がつかない場合、仮装隠蔽や除外売上の疑いがもたれる
実務対応:「売上減の要因」を文書や経営会議資料で残しておくと、調査時に有利です
2. 外注費や交際費、会議費などの経費が大きく変動している
外注費が前年の2倍になっているが、売上は増えていない
会議費が多額(かつ定型的な説明しかない) → 実態は個人的な飲食費の付け替え疑い
税務調査の着眼点:
・業務実態の確認(業務委託契約書・納品物の有無)
・一人あたり単価が不自然に高い接待飲食(→交際費・役員賞与への否認)
3. 棚卸資産の増減が異常
原価は多額に計上されているのに、棚卸資産が残っていない
前期の在庫と期末在庫が極端に変化 → 「売上除外」「架空原価」などの指摘リスク
実務ポイント:
棚卸調査表、写真記録、在庫数量報告書の整備が有効です
4. 役員報酬・役員賞与の処理が不明瞭
定期同額給与ではないのに、毎月金額がバラバラ
事前確定届出給与の届出が提出されていないのに、賞与を支給
📌 否認される場合、損金不算入+源泉徴収漏れ指摘の可能性あり(ダブルパンチ)
5. 固定資産が減っているのに除却損・売却損がない
建物・備品などが消えているのに、除却や売却の処理がない
→ 実態と決算書の乖離、簿外資産・簿外損失の存在を疑われる
調査官の対応:
現物確認、除却証明、売買契約書の有無を確認されます
✅ 税務調査を見据えた経営のすすめ方
項目 | 実務ポイント |
税務調査前にやるべきこと | 決算書の変動項目を前年対比で分析しておく |
領収書の保存方法 | 税務署が確認しやすいように費用別・月別にファイリング |
経営判断の裏付け | 経費増減の理由を稟議書・契約書・議事録で明文化 |
✅ 税務調査が入りやすい法人の共通点
赤字続きから黒字化した直後の法人
不動産や多額の設備投資を行った期
社長が個人的な支出と法人の支出を混在させやすい場合
顧問税理士が毎年変わっている(管理体制が緩いと判断される)
まとめ|「見られる前提」で決算書をつくる
税務調査では、「金額」よりも「整合性」や「合理性」が重視されます。決算書の“違和感”は、調査官にとって調査着手の強い動機になります。
📌 ポイントは、「税務署が見る視点で、自社の決算書を一度レビューすること」です
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