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節税しすぎて資金繰りが悪化するパターン~税金は減ってもキャッシュが減っては本末転倒~

  • yusukekondo9
  • 11月20日
  • 読了時間: 4分

はじめに|「節税=経営改善」ではない

「税金を払いたくない」

「とにかく節税したい」


経営者であれば誰もが思う感情かもしれません。ですが、“節税”と“資金繰り”は必ずしも一致しないのが現実です。


特に、節税を目的に過度な経費支出や設備投資をすると、結果的にキャッシュが枯渇して資金繰りが悪化するというケースが後を絶ちません。


この記事では、税理士の立場から「節税と資金繰りの落とし穴」について、具体的なパターン別に整理しつつ、節税とキャッシュフローのバランス感覚を身につけるための視点をお届けします。



1. 節税とは?資金繰りとの違い


✅ 節税=利益を抑えて法人税を少なくすること

   → つまり「利益は減る=キャッシュが出ていく支出を伴う」ことが大半


✅ 資金繰り=手元資金(キャッシュ)の流れ

  → 節税で利益が減っても、支出が多ければキャッシュも減る


📌 「節税=キャッシュが増える」とは限らないという点に注意が必要です



2. よくある“節税で資金繰り悪化”パターン5選


① 高額な備品・設備を年末に“駆け込み購入”

  • 減価償却や即時償却による節税を目的に、使わない機械・高額PCを購入

  • 結果:一時的に税金は減るが、キャッシュは一気に流出


☑ チェックポイント→ その支出、本当に「将来の利益を生む投資」になっていますか?


② 役員報酬の引き上げによる節税

  • 法人税を抑えるために役員報酬を大きく増額

  • 結果:会社に現金が残らず、手取額も思ったほど増えない


☑ チェックポイント→ 所得税・住民税・社会保険料の“個人負担増”を忘れていませんか?


③ 過大な福利厚生・交際費・会議費での圧縮

  • 税務上“損金になる”ことに着目し、高額な飲食・旅行・贈答を実施

  • 結果:税務調査で否認されるリスク+キャッシュ消耗


☑ チェックポイント→ 節税“目的”の支出は、経費ではなく“浪費”です


④ 小規模企業共済・保険などへの過剰加入

  • 損金になるからと、共済・逓増定期・長期平準などに次々と加入

  • 結果:返戻率が低いタイミングで資金が拘束される


☑ チェックポイント→ キャッシュの“出口戦略”を設計していますか?


⑤ 節税のための“赤字操作”→ 融資審査で減点

  • 銀行提出前に“節税”の名目で赤字にする

  • 結果:金融機関から「収益性が低い会社」と見なされ、融資が通らない・金利が高くなる


☑ チェックポイント→ 銀行は「納税している健全な会社」を評価します



3. 税引後キャッシュベースで考えるクセを持つ


節税の効果は、「税額減少分」だけ。でも、支出がキャッシュフローを直撃するので、損得は以下の視点で見る必要があります:

節税金額

本来の税額 − 節税後の税額

実質損得

節税金額 − 支出(or キャッシュアウト)

例:100万円の設備を買って30万円節税→ 実質支出70万円。しかも、将来減価償却はもうできない



4. 賢い節税は「利益を残しつつ、キャッシュも増やす」


以下のような“資金繰りも強くなる節税”が理想です。


✅ 社会保険の適正化(報酬設計・扶養戦略)

  • 社会保険料は税務だけでなく資金流出の代表格

  • 抜本的に見直すと毎年数十万円のキャッシュ改善も


✅ 繰延型の節税策(共済・退職金準備・決算賞与の活用)

  • 将来支出を見据えた戦略的準備金(戻る前提で活用)

  • 退職金と絡めれば、所得税+法人税のトータル最適化も可能


✅ 適正利益の確保 → 金融機関の信頼獲得 → 好条件融資

  • あえて節税しすぎずに「黒字を維持」することで資金調達力アップ

  • これが「利益が税金を呼び、税金が信用を呼び、信用が資金を呼ぶ」好循環の第一歩



まとめ|“節税ありき”は資金繰りの落とし穴

比較軸

よくある節税

本当に効果的な節税

税金

減る

減る

キャッシュ

減る

増える or 将来返ってくる

事業貢献

乏しい

長期的に利益を生む

銀行評価

低下

安定的に上昇

経営判断

感覚・一時的

計画的・戦略的

節税は“目的”ではなく“手段”です。目的はあくまで「キャッシュを増やし、会社を強くすること」。この原点を忘れずに、数字に強い経営者であり続けましょう。



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