経営者が知っておくべき最新の税制改正とその影響(令和6年・令和7年改正対応)
- yusukekondo9
- 2 分前
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1. はじめに
令和6年および令和7年にかけて実施される税制改正は、成長企業にとって経営判断や資金繰り、節税戦略に大きな影響を与える内容が多く含まれています。
特に年商数億円規模の企業や、事業承継・設備投資・人材採用などに積極的な企業は、税制改正の“適用可否”によって資金計画に差が出るケースも少なくありません。
本記事では、経営者が押さえておくべき主要な改正項目と、その実務的な影響について解説します。
2. 令和6年税制改正の主なポイントと影響(中小企業向け)
✅ 経営セーフティ共済(倒産防止共済)の損金算入要件の見直し
【改正内容】掛金を一括で損金算入する仕組みに制限が導入。
【背景】節税目的の過度な利用を防ぐための改正。
【影響】今後は掛金の分割処理や年間上限を意識した運用が必要。節税偏重の設計は見直しを。
✅ 所得拡大促進税制の見直し(賃上げ促進税制)
【改正内容】中小企業においては、賃上げ要件を満たしても法人税額が少なく控除しきれなかった場合、控除しきれなかった金額を翌期以降に繰越控除できる新制度が導入された(令和6年度改正)
【影響】利益が安定していない中小企業でも、賃上げを実行すれば後年の法人税額から控除を受けられる可能性が高まり、実質的な節税効果が向上
【経営への示唆】単年度の法人税額を気にせず、戦略的に人件費を増やす施策(採用・昇給等)を検討しやすくなった【改正内容】賃上げ率や支給額に関する条件が厳格化。
【影響】従業員への還元が強く求められ、制度利用のハードルが上昇。人件費コントロールと制度活用の両立が経営課題に。
✅ 中小企業投資促進税制の終了
【改正内容】長年活用されてきた即時償却・特別償却制度が期限切れへ。
【影響】今後の設備投資は他の税制(中小企業経営強化税制など)へのシフトが必要。投資計画は早期に立案・実行を。
✅ 電子帳簿保存制度の罰則強化・実務対応義務化
【改正内容】令和6年1月より全事業者に電子取引の電子保存義務が完全施行。
【影響】事務負担増により、小規模企業やクラウド未導入企業は体制整備が急務。違反時の税務リスクも拡大。
3. 令和7年税制改正の方向性と予測される影響
🔹 事業承継税制の要件見直し(方向性の変化)
【改正方向】令和6年度税制改正において、後継者の就任要件が実務上柔軟化されるなど、一部要件が緩和される動きが見られる。
【影響】制度の使いやすさが向上する反面、制度の恒久化に向けた見直し論点が整理されており、今後の制度変更への備えとして事前の適用判断・事業承継計画の策定が重要。
🔹 法人税率の引き下げ議論の継続
【方向性】成長投資支援と国際競争力強化のため、中小企業向け軽減税率の適用範囲拡大や段階的な税率見直しが議論中。
【影響】短期的な影響よりも、制度変更に伴う「制度適用の有無」が資金計画に影響を及ぼす。最新情報を都度チェックすべき分野。
🔹 賃上げ企業優遇と非対応企業への圧力強化
【改正方向】今後さらに、賃上げ未実施企業に対して補助金・税制支援の対象外とするなど“実質的な罰則”が強化される見込み。
【影響】人件費と業績のバランス管理がより重要に。制度を使う前提での人事戦略構築が求められる。
4. 税理士ができる実務サポート
各制度の適用可否の判定と有利不利比較
賃上げ・設備投資・承継などの実行スケジュール設計
節税効果のシミュレーションとリスク評価
税務調査対策としての文書整備・電子保存体制の構築
📌 “使える制度”ではなく、“使うべき制度”を選ぶための判断力と情報収集力が、これからの企業経営に求められます。
5. まとめ
✅ 令和6年・7年の税制改正は、節税から「持続的成長支援」へと舵を切っている
✅ 制度終了や要件厳格化により、「使えるうちに使う」姿勢が重要
✅ 税制の有利活用には、経営計画・人件費・財務戦略との連動が不可欠
✅ 税理士とともに“使い逃しのない”戦略的な対応を
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