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資金ショートを防ぐ!成長期の財務管理で意識すべきこと

  • yusukekondo9
  • 5月15日
  • 読了時間: 3分

1. はじめに


企業が急成長フェーズに入ると、売上や事業規模の拡大に目が向きがちですが、同時に最も注意すべきは「資金繰り」です。黒字倒産という言葉があるように、会計上の利益が出ていても、資金ショートすれば会社は立ち行かなくなります。

本記事では、年商5億円を目指す企業が、成長段階で意識すべき財務管理のポイントと、資金ショートを未然に防ぐための実践的な対策を解説します。



2. 成長期に資金繰りが厳しくなる理由


✅ 売上増加に伴う「運転資金」の増加

  • 売上が伸びるほど、仕入・人件費・外注費などが先行して発生

  • 売掛金の増加により、入金までのタイムラグが拡大

✅ 設備投資や人材採用によるキャッシュアウト

  • 事業拡大のための先行投資が多くなり、資金が外に出る一方

  • 投資に見合うリターンが得られるまでに時間がかかる

✅ 税金・社会保険料などの支払い負担

  • 成長に伴って税負担も増加し、資金繰りを圧迫する


📌 「成長しているのに資金が足りない」のは自然な現象。だからこそ早めの対策が必要です。



3. 資金ショートを防ぐための財務管理のポイント


🔹 月次資金繰り表の作成と運用

  • 将来3〜6か月先までの資金の動きを見える化

  • 支出と入金のタイミングを整理し、資金不足が予測される月を事前に把握


🔹 売掛金と買掛金の回転期間の管理

  • 売上債権の回収サイトを短縮、仕入債務は可能な範囲で支払サイトを延長

  • 滞留債権の早期回収と、信用調査による貸倒リスクの回避


🔹 税金・賞与・返済スケジュールの予測

  • 法人税・消費税・社会保険などの支払予定を年単位で管理

  • 資金ショートの大半は「想定外の支払い」が原因


🔹 投資とキャッシュフローのバランス

  • 設備投資はキャッシュフロー計画と整合性を取って判断

  • 必要に応じて、投資前に借入や補助金で資金を確保



4. 銀行融資と補助金の活用で資金繰りを安定化


✅ 信用保証協会付き融資や当座貸越枠の確保

  • 資金繰りが安定している時期に「枠」を確保しておく

  • 事前に金融機関との信頼関係を構築しておくことが重要

✅ 補助金・助成金の併用

  • 設備投資や販路拡大、人材育成などに対して活用可能

  • 補助金の入金は後払いが多いため、つなぎ融資とのセット活用が効果的


📌 融資や補助金は「必要になってから探す」のではなく、「必要になる前に準備しておく」のが鉄則です。



5. 税理士がサポートできること


  • 月次資金繰り表・資金収支計画の作成支援

  • 設備投資のキャッシュイン・アウトの予測と資金調達プラン

  • 税・社会保険・返済の支払スケジュールの可視化

  • 融資交渉・補助金申請の伴走支援



6. まとめ


✅ 成長期こそ「利益より資金繰り」が重要課題になる

✅ 月次資金繰り表と支払スケジュール管理で“資金の見える化”を

✅ 投資・税金・返済が重なるタイミングを事前に把握する

✅ 融資枠と補助金の活用で“備えある経営”を

✅ 税理士とともに、成長を止めないための財務体制を構築しよう

 
 
 

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