試算表と決算書の関係性と経営活用の違い〜月次で見るか、年次で見るか。経営判断のスピードと精度を分ける2つの帳票〜
- yusukekondo9
- 8月19日
- 読了時間: 3分
経営者として「数字に強くなる」ためには、試算表と決算書の違いを理解し、使い分けることが不可欠です。この2つは見た目が似ていても、作成目的・タイミング・精度・使い道が大きく異なります。
今回は「試算表と決算書の違い」「両者の関係性」「経営にどう活かすか」を、財務と経営判断の視点からわかりやすく解説します。
I. 試算表とは?|毎月の経営成績速報
試算表とは、会社の会計データをもとに、ある月の損益や資産状況を速報的にまとめた帳票です。
目的:月次の業績・財務状況を把握するため
作成頻度:毎月(または四半期)
精度:仮勘定や未整理項目が残ることも
利用者:経営者、経理部、税理士など
主に以下のような3つの表で構成されます:
表の種類 | 内容 |
合計残高試算表 | 勘定科目ごとの借方・貸方の合計と残高 |
損益計算書(P/L) | 月次・累計の売上、経費、利益など |
貸借対照表(B/S) | 月末時点の資産、負債、純資産の構成 |
✅ 特徴:「速報性」は高いが、「正確性」は決算書に劣る
II. 決算書とは?|1年に1度の公式レポート
決算書とは、1年間の経営成績と財務状況をまとめた最終的な成績表です。
目的:法定開示・金融機関や株主への説明・税務申告
作成頻度:年1回(期末)
精度:正確・整合性が求められる
利用者:税務署、銀行、株主、経営者
✅ 特徴:会計原則に基づき、勘定の整理・修正・調整後の「完成形」
III. 試算表と決算書の違いを表で比較
比較項目 | 試算表 | 決算書 |
作成目的 | 月次の業績把握・経営判断 | 年度の経営成績報告・税務申告・金融対応 |
作成頻度 | 毎月 | 年1回 |
精度 | 仮勘定や未調整項目を含む | 精査・調整済みの正式資料 |
読み手 | 経営者・社内・顧問税理士 | 税務署・金融機関・株主など |
表示内容 | P/L・B/Sが中心(科目数が簡略) | フルスケールの財務諸表(注記付き) |
IV. 試算表と決算書はどうつながっているのか?
試算表は、決算書のもとになる「原材料」です。
試算表 → 決算調整 → 決算書
決算書は、期末の試算表に対して以下のような調整を加えて作成されます:
売上・仕入の未計上修正
棚卸資産の評価調整
貸倒引当金などの引当処理
貸付金・仮払金などの洗い替え
交際費・福利厚生費の損金算入可否の判断
試算表は「生データ」決算書は「整えられた報告書」というイメージです。
V. 経営における使い分け方
✅ 試算表は「日常の経営判断」に使う
月次で売上・利益の変動をチェック
固定費の推移や人件費率を確認
売掛金や在庫の膨らみを見逃さない
⇒ スピード重視。PDCAの早回しに活用
✅ 決算書は「対外説明と全体戦略」に使う
銀行や株主との報告・説明
事業計画や中長期戦略の基礎資料
節税・納税計画の判断
⇒ 正確性重視。経営の総括と次年度の意思決定に活用
VI. 銀行や税務署はどちらを見るか?
相手 | 主に見る帳票 | 理由 |
銀行 | 決算書(+月次試算表) | 信用評価・融資判断に必要。業績推移は月次で確認されることも。 |
税務署 | 決算書(申告書ベース) | 法人税計算の根拠。会計と税法の違いも考慮。 |
経営者 | 両方 | 試算表で日々の判断、決算書で長期戦略と社外対応 |
💡ポイント:銀行は「決算書で見る全体像」と「月次の試算表で見る現状の勢い」の両方を評価します
VII. よくある経営課題と試算表の見落とし
売上は好調なのに利益が出ていない → 販管費の増加や原価率悪化を月次でチェック
資金が足りない → 売掛金の増加や在庫の偏りを確認
経常利益は出ているのに営業キャッシュフローがマイナス → 試算表+資金繰り表の併用が必要
まとめ|「数字の鮮度」と「信頼性」を使い分ける
試算表と決算書は、いわば「スピード」と「精度」の関係です。
目的 | 適した帳票 |
現状の把握・改善 | 試算表(月次) |
正式な評価・対外対応 | 決算書(年次) |
年商5億円を目指す経営者には、「試算表で素早く方向修正」「決算書で外部と信頼構築」という二刀流が求められます。
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