銀行が嫌う決算書の兆候と改善策~“数字のクセ”が命取りに?年商5億円を目指す経営者が知っておくべき注意点~
- yusukekondo9
- 2 分前
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はじめに|銀行の評価は「数字」から始まる
「うちの会社、赤字じゃないのに銀行対応がイマイチ良くない・・・」「融資が通りにくくなった理由がわからない・・・」
銀行は、決算書の“ある兆候”をもとに、融資の可否や金利をシビアに判断しています。つまり、決算書の中にある小さな違和感が“NGサイン”として機能している可能性があるのです。
本記事では、税理士の立場から「銀行が嫌う決算書の兆候」と、それに対する「改善策」を具体的にご紹介します。
銀行が嫌う7つの決算書の兆候とは?
① 社長貸付金・仮払金・仮受金が多額に計上されている
資金の流れが不透明
経営と私生活の線引きができていない
実質的には回収不能な“隠れ債務”
📌 銀行は「この会社、お金を私的に使っているのでは」と疑念を持ちます
▶ 改善策:
原則として貸付金は返済する
仮払金・仮受金は月次で必ず精算
社長個人との資金のやり取りは明確に記録
② 減価償却費が極端に少ない or 計上されていない
利益を大きく見せるために減価償却を抑えていると…
銀行は「キャッシュの流れを偽っている」とみなす
📌 減価償却は現金支出を伴わないが、設備の使用価値の減少を反映する重要な費用
▶ 改善策:
正しい耐用年数・償却方法に基づいて計上
銀行には「減価償却をしっかりしても利益が出ている」姿を見せる
③ 役員報酬が不自然に高い or 極端に低い
高すぎる →「利益を抜いている」
低すぎる →「生活費を貸付金で補っている可能性」
📌 銀行は「報酬水準と利益構造」に整合性がないと“節税・調整臭”を感じ取ります
▶ 改善策:
適正水準の役員報酬を設定(利益や借入水準とのバランス)
貸付金との関係を明確にする
④ 売掛金・棚卸資産が膨張している
売掛金:回収不能なものが残っていると粉飾を疑われる
棚卸資産:不良在庫が多いと資産過大計上に見える
📌 売上に見合わない資産増加は、“実態乖離”のサイン
▶ 改善策:
回収不能債権は貸倒処理を検討
棚卸資産は定期的に評価減・廃棄処理を行う
⑤ 短期借入金が恒常的に多い
資金繰りが慢性的に悪いと見られる
「短期で借りて長期に使っている」資金使途のミスマッチ
📌 銀行は「資金繰りの綱渡り状態」と判断します
▶ 改善策:
長期借入への借換え(資金使途に応じた資金調達)
月次の資金繰り表で健全性を説明
⑥ 税金の未納・滞納がある
法人税・消費税・社会保険の未納
納税資金が確保できていない=資金繰りが悪化している証拠
📌 税金の滞納は銀行にとって“レッドカード”です
▶ 改善策:
納付計画を立てて早期解消
定期預金や積立などの「納税準備」も評価される
⑦ 売上が増えても利益が増えていない
人件費や外注費などのコスト管理が甘い
“売上至上主義”に陥っていると判断される
📌 銀行は「成長してもキャッシュが残らない会社」と見ます
▶ 改善策:
売上総利益率・営業利益率を毎年比較
KPI(粗利/販管費)で経営管理を導入
税理士が提案する「決算書改善の3ステップ」
ステップ1:月次ベースで数字を管理
月次試算表の精度を高め、リアルタイムで数字を把握
粗利率・営業利益率などのKPIも確認
ステップ2:資産・負債の内容を整理
貸付金・仮払金・売掛金などは定期的に棚卸し
実態のない資産は処理 or 補足資料で説明
ステップ3:銀行提出用の資料を整備
銀行向けPL・BSの補足資料(注記・補足説明書)
キャッシュフロー計画や返済スケジュール
3カ年の事業計画(売上・利益・投資計画)
まとめ|数字は「相手にどう見えるか」がすべて
銀行が嫌う決算書の兆候は、「粉飾をしている」という意味ではありません。むしろ、“説明が不十分”“資金の見通しが見えない”ことが問題視されているのです。
「ちゃんと説明すれば分かってもらえる」ではなく、“初見で信頼される決算書”を作ることが、成長資金を獲得する最短ルートです。
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