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銀行が重視する「流動比率」と「当座比率」とは~資金繰りの健全性はこの2つで見抜かれる~

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年10月2日
  • 読了時間: 4分

決算書に出てくる「流動比率」「当座比率」。税務署がそれほど重視しないこの指標、実は銀行が融資判断で極めて重要視する財務指標です。

本記事では、税理士としての立場から、銀行がどのようにこの2つの比率を見ているのか、そして企業がどう改善していけば良いかを解説します。



I. 流動比率・当座比率とは何か?


▶ 流動比率(Current Ratio)


流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)

  • 短期的な支払能力を示す指標

  • 基本的に1年以内の資産で1年以内の負債を返済できるかを示す


📌 流動比率が高いほど、会社が短期の債務を問題なく返済できると判断されます。


▶ 当座比率(Quick Ratio)


当座資産 ÷ 流動負債 × 100(%)

  • 当座資産=流動資産のうち、現預金・売掛金など「すぐに現金化できる資産」

  • 流動比率よりもさらに厳格な支払能力の指標


📌 在庫や前払金など、現金化に時間がかかる資産を除いて計算します。



II. 銀行がこの指標を見る理由


銀行は企業にお金を貸す立場として、次の2点を非常に気にします。

  1. 短期的に返済不能になるリスクがないか?

  2. 本当にキャッシュに変えられる資産をどれだけ持っているか?


流動比率や当座比率は、「現金の余裕」や「支払能力の健全性」を数値で示す指標であるため、企業の短期的な倒産リスクを図る材料として非常に重視されます。



III. 目安となる数値は?

指標

安全水準の目安

銀行の見方

流動比率

200%以上

余裕あり(理想)

流動比率

100~200%

通常範囲(健全)

流動比率

100%未満

注意(支払能力に懸念)

当座比率

100%以上

健全(理想)

当座比率

70~100%

そこそこ。ただし業種により注意

当座比率

70%未満

要注意。短期資金繰りに懸念あり



IV. 実際の例で比較


ある中小企業の貸借対照表(要約):

項目

金額

現金預金

300万円

売掛金

500万円

棚卸資産

400万円

流動資産合計

1,200万円

流動負債

1,000万円

この会社の指標は?

  • 流動比率:1,200 ÷ 1,000 × 100 = 120%

  • 当座比率:(300 + 500)÷ 1,000 × 100 = 80%


👉 見た目は健全に見えますが、当座比率が80%なので、在庫に大きく依存している構造であることが分かります。



V. 改善策|比率を良く見せるには?


① 流動負債を減らす

  • 短期借入金の長期借入化(リスケではなく条件変更)

  • 返済スケジュールの見直しで、バランスシート上の流動性を改善


📌 銀行交渉の成果がここに反映されます。


② 売掛金の早期回収

  • 回収サイトを短くする

  • ファクタリングや売掛金保証制度(例:日本商工会議所連合会の制度、東京商工リサーチ連携の債権保証など)を活用する手も


③ 棚卸資産の圧縮

  • 期末在庫が多すぎると、流動比率には貢献しますが、当座比率では除外されます→ 売れない在庫は「資産ではなくリスク」


④ 不要な前払費用を削減

  • 保険料の年払い、家賃の前払などは現金を減らす要因になります→ キャッシュを手元に残すことで、当座比率は上がります



VI. 銀行向けにはどう「見せる」か?


  • 月次ベースでの推移を提示すると「改善努力」が伝わります

  • 当座比率が低くても、「売掛金の回収確度が高いこと」などを別紙で補足すると印象が変わります

  • 担保の存在や、オーナーの個人資産との連動も交渉材料になります



VII. 税理士としての支援ポイント


  • 資金繰り実態に基づいた財務比率の分析と説明書類の作成

  • 決算書の見せ方改善(仮払金・未収項目・不要資産の整理)

  • 金融機関向け財務報告書(BS分析+資金繰り表)の作成



まとめ|“見せ方”と“中身”の両方が大切


流動比率・当座比率は、会社の短期的な生存力を示す数字です。銀行はその数字で「この会社に貸して大丈夫か?」を判断します。

経営者として、単に「黒字にすること」だけでなく、数字の意味を理解し、銀行の視点を意識することが今後の資金調達の命運を握ります。



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