信用金庫・地方銀行と良好な関係を築く方法とは?~資金調達力を高めるための実践的アプローチと実例~
- yusukekondo9
- 6月26日
- 読了時間: 4分
はじめに
「信用金庫や地方銀行とは、どう付き合えばいいのか?」これは中小企業の経営者からよくいただく質問です。
都市銀行とは異なり、地域密着型の金融機関は“人と人のつながり”を非常に重視します。本記事では、信用金庫・地方銀行との信頼関係を築き、融資や支援の質を高めるためのコツと、実際の成功事例をご紹介します。
1. 信用金庫・地方銀行が重視するのは「信頼」と「情報」
信用金庫・地銀が中小企業を評価する際、財務データだけでなく、次のような“定性情報”を重視します。
評価軸 | 内容 |
経営者の人柄 | 約束を守る、説明責任が果たせる、誠実であるか |
情報の透明性 | 試算表・計画・資金繰り表などをタイムリーに共有しているか |
地域との関わり | 地域に根差した事業か、地元雇用・貢献度があるか |
継続的な対話 | 金融機関からの訪問・打診に丁寧に応じているか |
📌 信用金庫や地銀では、「この経営者なら安心」と思われることが最大の審査通過要因となります
2. 良好な関係を築く5つの実践ポイント
① 定期的に月次試算表を提出する
金融機関からの信頼は「情報の共有」から始まります
決算書だけでなく、毎月の損益・資金繰り表を提出する企業は極めて少数派
月次報告をしている企業は、プロパー融資や条件交渉でも有利になります
② 担当者との“雑談力”も重要
金融機関担当者は「人」で動きます
資料提出だけでなく、「最近の動き」「今後の展望」などを積極的に話すことが◎
営業同行や提案も生まれやすくなります
③ 資金繰りに困っていない“今”こそ関係を深める
困ったときだけ連絡してくる企業には、金融機関は慎重になります
「今は借りる予定はないが、今後のために相談しておきたい」というスタンスが最も好印象
④ 借入以外でも接点をつくる
信金・地銀は、地域の商工会、補助金情報、ビジネスマッチングなどでの支援も充実
借入以外の接点(セミナー、相談、情報提供)を積極的に活用
⑤ 顧問税理士から紹介を受ける・同席してもらう
税理士からの紹介は“信用の後押し”になります
税理士が同席することで、経営者の補足説明や数字の信頼性も高まります
3. 実例紹介①:情報共有でプロパー融資に成功した製造業(年商2.5億円)
ある金属加工業のクライアントでは、売上は安定していたものの、資金繰りがタイトな状態でした。信用金庫に対して、以下の対応を継続的に行いました:
月次試算表と資金繰り表を毎月共有
決算3ヶ月前から利益調整と計画作成を実施
税理士が融資面談に同席し、収益構造の安定性を説明
結果として、当初は保証協会付きでしか出なかった融資が、3年目で初めてプロパー融資に切り替え。現在では、信用金庫の方から「次の設備投資の相談はありますか?」と連絡をもらえる関係になりました。
4. 実例紹介②:売上急成長のIT系企業が地方銀行と深い関係を築いた事例
東京都内のITサービス業(年商1.2億円)は、創業後すぐは都市銀行に断られ続けていました。しかし、地方銀行(千葉県の地銀)と以下のような連携を行いました:
事業計画書を自作・提出し、月次数字の報告を継続
金融機関の人材紹介制度やビジネスマッチングを積極的に活用
自社のDX導入事例を逆提案し、行内研修に協力
その結果、創業2年目で地銀から最大3,000万円のプロパー融資+補助金連携提案を受け、メインバンクとして安定的な取引を開始しています。
5. 信用金庫・地銀との関係を“資産化”する考え方
金融機関との関係性は、目に見えない“経営資産”です
金利交渉/プロパー化/借換え/補助金申請などで“信用”が可視化されていきます
一度構築した信頼関係は、経営危機の時に「最も頼れる支援」に変わります
📌 短期的な資金調達だけでなく、「5年後も見据えた関係づくり」が最も重要です
✅ 経営者へのアドバイス
信金・地銀は「貸したい」と思ってもらえた時が最大のチャンス
借入相談だけでなく、日頃の報告・雑談・事業の将来像の共有がカギ
顧問税理士をうまく巻き込みながら、「金融機関から信用される経営スタイル」を整えていきましょう
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