資金繰り表・資金計画の“精度”が融資を左右する?~金融機関が本当に見ているポイントと作り方のコツ~
- yusukekondo9
- 7月17日
- 読了時間: 4分
はじめに
「計画書はとりあえず作ったけど、これで銀行に出して大丈夫?」「資金繰り表を提出したのに、融資を断られた理由がわからない…」
そんな悩みを抱える経営者の方は多いかもしれません。実は、金融機関が融資を判断する際に特に重視しているのが、資金繰り表と資金計画の“精度”と“実現可能性”です。
今回は、銀行との融資交渉で評価される資金計画の作成ポイントと、実務的なコツについて詳しく解説します。
1. 金融機関が資金繰り表・資金計画で見る視点とは?
金融機関は、単に「黒字か赤字か」だけを見ているわけではありません。特に以下の点を重点的にチェックしています。
評価項目 | 見られるポイント |
資金の流れ | 月単位で入出金に無理はないか(赤字月が続いていないか) |
借入金の返済能力 | 元利返済をキャッシュで回せる見込みがあるか |
計画の整合性 | 売上・利益・キャッシュが整合しているか(ズレがないか) |
数字の根拠 | 売上見込みや支出見積りが現実的かどうか |
経営者の理解度 | 作成者が内容をきちんと説明できるか |
📌 金融機関は、「この社長なら資金計画どおりにやり切れる」と思えるかを見ています
2. 精度の高い資金繰り表の特徴とは?
特徴①:
月単位の入出金が具体的・売上の入金タイミング(例:月末、翌月末など)・支払のスケジュール(仕入・外注・人件費・税金など)を正確に反映
特徴②:
税金・借入返済・ボーナスなど季節要因を反映・6月と12月に賞与がある・5月と11月に消費税・法人税の支払いがある
特徴③:
最低現預金残高を意識・手元資金が月末時点で〇〇万円を下回らない設計になっている
特徴④:
利益との連動がある・損益計画とリンクしていて、「黒字なのに資金が足りない」といった齟齬がない
3. 金融機関に好印象を与える資金計画書のコツ
① 売上の根拠を明記する
内容 | 書き方の例 |
既存顧客との契約更新 | 「既存顧客〇社(〇〇万円/月)の継続が見込まれる」 |
新規案件の獲得予定 | 「現在進行中の見積案件〇件の成約を前提」 |
値上げ効果の反映 | 「平均単価が1.2倍になる想定(過去半年平均より)」 |
📌 売上が「感覚的な希望」ではなく、「客観的な見通し」であることを示すことが大切です
② 費用の見積もりが正確である
家賃、人件費、仕入などの固定費・変動費が実態と乖離していない
節税や投資計画が反映されており、「使い道が分かる」資金設計になっている
③ 借入の返済スケジュールが明確
元利均等 or 元金均等など、返済方法に応じたシミュレーションを反映
すでにある借入と、今回の借入を合わせた返済負担が資金繰りに無理なく収まっているか
4. 実際の改善事例:融資否決から一転、満額実行へ(サービス業・年商1.6億円)
背景:
創業2期目で追加融資を希望するも、金融機関から「資金計画が曖昧」として否決。経営者は、試算表の提出と簡易なエクセルの数字しか用意していなかった。
改善ポイント:
・税理士とともに、月次の資金繰り表(入出金ベース)を12か月分作成
・売上見込みに根拠を付け(継続契約・新規商談)、説明文を添付
・借入返済後も現預金残高が減らないシナリオを構築
結果:
再提出から2週間後、同一金融機関より希望額満額にて実行
5. 税理士を活用した資金計画作成のメリット
メリット | 内容 |
計画の精度向上 | キャッシュフローと損益の整合性をチェックしてもらえる |
金融機関への説明補助 | 同席・代理説明で数字の説得力が増す |
提出書類の整理 | 試算表・決算・借入一覧などの整理を支援 |
定期的な更新 | 毎月の実績に基づき、計画とのギャップ分析が可能 |
📌 金融機関は、税理士の関与がある企業に対して「管理意識が高い」と評価する傾向があります
まとめ:「数字が正しい」だけでは足りない
「その数字が、どう実現されるのか」が伝わるかどうかがカギ
資金繰り表・資金計画は、単なる“提出書類”ではありません。金融機関と信頼関係を築き、融資を通すための“対話ツール”です。
数字が正しいだけでなく、根拠があるか・一貫性があるか・経営者が理解しているかという視点で作り込むことが、成功への第一歩です。
✅ 経営者へのアドバイス
計画書は“見せる資料”でなく“伝える資料”として整えましょう
「資金繰りを読む力」=「資金調達力」に直結します
難しく感じる場合は、顧問税理士の力を借りて、月次ベースでの運用を習慣化しましょう
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