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数字に強い社長になる|月次決算を「経営の武器」に変える3つの視点

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 1 日前
  • 読了時間: 9分

数字に強い社長になる

― 月次決算を「経営の武器」に変える3つの視点

「年商1億から5億へ」シリーズ 第7回


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はじめに


社長「毎月、試算表はちゃんともらっています。売上と利益はいつも確認していますよ。」


近藤 それは素晴らしいことです。ただ、正直にお聞きします。その試算表、見た後に何をしていますか?


社長「え・・・『今月も黒字だったな』と思って、ファイルを閉じる感じですかね。」


近藤 でしたら、はっきり言います。それでは月次決算をしていても、経営にはほとんど活かせていません。


社長「そうなんですか?数字はちゃんと把握しているつもりなんですが。」


近藤 把握することと、使うことは別なんです。試算表に書かれているのは基本的に過去の数字です。しかし、経営者が判断しなければならないのは未来です。人を採るのか。設備を買うのか。広告費を増やすのか。値上げをするのか。こうした意思決定に数字を使うこと。それが、月次決算の本当の意味です。


今回は、月次決算を単なる「会社の成績表」ではなく、「経営の武器」に変えるための3つの視点についてお話しします。


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第1章 「数字を見る」と「数字で判断する」は違う


近藤 数字に強い社長とは、会計に詳しい社長のことではありません。簿記の知識がなくても構いませんし、細かい勘定科目まで理解する必要もありません。


社長「じゃあ、数字に強い社長って、具体的にはどういう人のことなんですか?」


近藤 自社の重要な数字を理解し、それを経営判断につなげられる社長。それが、数字に強い社長です。会計士のように細部を理解する必要はまったくありません。


社長「でも、正直どこまで見ればいいのか分からないんです。」


近藤 そこで役立つのが、これからお話しする3つの視点です。この3つさえ押さえておけば、月次決算の見え方は大きく変わります。


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第2章 視点1:前月比ではなく「計画比」で見る


社長「うちは毎月、前月と比べて売上が伸びたか減ったかは見ているんですが、それでは足りないということですか?」


近藤 足りません。断言します。例えば今月の売上が3,000万円だったとして、先月が2,500万円なら「500万円も増えた、順調だ」と思うかもしれません。でも、もともとの計画が3,500万円だったとしたらどうでしょうか。見え方はまったく変わります。逆に、前年より売上が減っていても、計画どおりであれば大きな問題ではないケースもあります。


見るべきなのは「過去より良かったか」ではなく、「計画に対して今どこにいるか」です。売上だけでなく、粗利益、人件費、営業利益、広告費、採用費、それぞれについて予定と実績のズレを確認する。そして大切なのは、差が出た理由まで考えることです。案件数が少なかったのか、単価が下がったのか、受注率が悪かったのか。原因が分かれば、次の行動が決まります。


社長「うちは年度計画は作っているんですが、月ごとの数字とはあまり突き合わせていませんでした・・・。」


近藤 そこが、まさに変えるべきポイントです。月次決算は、単に数字の良し悪しを判定するものではなく、計画と現実のズレを早く見つけ、軌道修正するための仕組みなんです。


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第3章 視点2:利益だけでなく「キャッシュの動き」で見る


社長「今期はかなり利益が出ているはずなんですが、なぜか預金が思ったより増えていなくて、正直不安なんです。」


近藤 それは、決して珍しいことではありません。利益とキャッシュは同じではないからです。

売上を計上しても、まだ入金されていなければ会社のお金は増えていません。商品を仕入れて在庫が増えれば、利益にはすぐ影響しなくてもお金は出ていきます。設備を購入すれば大きな資金が一度に出ていきますし、借入金を返済しても元本部分は経費にはなりません。会社が大きくなるほど、この利益とキャッシュのズレは大きくなっていきます。


実際にご相談いただいたある小売業の会社では、決算書上は増収増益にもかかわらず、預金残高がほとんど増えていないことに社長が疑問を持たれていました。確認すると、急拡大に伴う在庫積み増しと売掛金の増加が、利益の増加分をほぼ相殺していたことが分かりました。試算表の利益だけを見ていては、この構造には気づけません。


社長「うちも似たような状況かもしれません。利益だけ見て安心していました。」


近藤 「業績が良いのに、なぜ資金繰りが苦しいのか」。その答えは、たいてい利益とキャッシュの違いに隠れています。数字を見るときは「いくら儲かったか」だけでなく、「その結果、お金はいくら増えたのか」まで確認する習慣を持ってください。


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第4章 視点3:会社全体ではなく「どこで利益が出ているか」を見る


近藤 年商がまだ小さいうちは、会社全体の損益を見るだけでも経営できます。しかし、会社が成長すると、それでは実態が見えなくなってきます。


例えば、会社全体では1,000万円の利益が出ているとします。一見順調です。しかし中身を見ると、A事業+2,000万円、B事業▲800万円、C事業▲200万円かもしれません。会社全体だけを見ていたら「1,000万円儲かっている会社」ですが、実態は「A事業の利益でB事業とC事業の赤字を補っている会社」です。この二つでは、経営判断がまったく違います。


社長「うちも複数の商品を扱っていますが、正直どれがどれだけ利益に貢献しているか、はっきりとは分かっていません。」


近藤 それは、多くの成長企業に共通する課題です。売上が大きい商品や得意先が、必ずしも会社に利益をもたらしているとは限りません。値引きが多く手間もかかるのに、実際にはほとんど利益が出ていない、というケースは珍しくありません。


社長「うちも、一番大きい得意先が実は一番手間がかかっている、ということがある気がします・・・。」


近藤 その感覚は、数字で確認してみる価値があります。会社が大きくなるほど、「会社はいくら儲かったか」だけでなく「どこで儲かっているのか」を見ることが重要になります。すべてを細かく管理する必要はなく、経営判断に必要な単位で数字を分けることが大切です。


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第5章 月次決算は「早さ」がなければ意味が薄れる


社長「うちは試算表が出るのが、だいたい翌々月になってしまうんですが、それでも問題ないでしょうか。」


近藤 それは、正直に言うと改善した方がいいです。4月の数字が分かるのが6月末だったら、「4月から利益率が悪化しています」と分かっても、すでに2か月が経過しています。5月も同じ状態だったかもしれませんし、6月も途中まで進んでしまっています。

経営判断に使う数字には、鮮度が必要です。完璧な数字を2か月後に見るより、多少の概算が含まれていても早い段階で会社の状況を把握できる方が、経営には役立ちます。


社長「正確さより早さを優先していい、というのは意外でした。税務申告のイメージが強かったので。」


近藤 そこが混同されやすいところです。税務申告は過去を正確に計算する仕事ですが、月次決算は未来の意思決定をするためのものです。この違いを理解すると、月次決算に求めるものも変わってきます。


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第6章 数字に強い社長は、すべての数字を見ているわけではない


社長「ここまでお聞きして、逆に不安になってきました。計画比も、キャッシュも、部門別も・・・全部きちんと見ないといけないんですよね?正直、自信がありません。」


近藤 安心してください。それは誤解です。会社が成長すると、把握できる数字はどんどん増えていきます。売上、粗利益、営業利益、人件費、広告費、客単価、受注率、在庫回転率、売掛金回収期間。これを全部、毎日見ようとすれば、経営者は数字を見るだけで疲れてしまいます。


社長「じゃあ、結局どこまで見ればいいんですか。」


近藤 大切なのは、数字をたくさん見ることではありません。自社にとって重要な数字を決めることです。今の経営課題が人件費なら、売上と人件費の関係を見る。利益率が課題なら限界利益率を見る。資金繰りが課題なら売掛金や手元資金を見る。会社の課題が変われば、見るべき数字も変わっていきます。


社長「なるほど・・・全部を完璧に見ようとしなくていいんですね、少し気が楽になりました。」


近藤 その通りです。数字は経営者を縛るものではありません。判断を助けるための道具です。今の御社の課題が何かが分かれば、見るべき数字はおのずと絞られてきます。


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まとめ


数字に強い社長になるために、難しい会計知識は必要ありません。必要なのは、数字を見たあとに「だから、どうするのか」まで考えることです。


前月より良かったかではなく、計画に対してどうだったか。利益はいくら出たかだけでなく、キャッシュはいくら残るのか。会社全体の利益だけでなく、どこで利益を生み出しているのか。この3つの視点を持つだけでも、月次決算の見え方は大きく変わります。


会社が1億円、3億円、5億円と成長するほど、社長一人の感覚だけでは見えないものが増えていきます。だからこそ、感覚を捨てるのではなく、経営者の感覚を数字で確かめる。その習慣を持つことが、会社を次のステージへ進める力になります。


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よくあるご質問


Q. 計画比で見るための「計画」は、どのくらい細かく作ればいいですか?

A. 最初から完璧な計画を作る必要はありません。売上・粗利益・主要な固定費といった大きな項目だけでも、月次で計画値を持っておくことから始めれば十分です。運用しながら精度を上げていく方が現実的です。


Q. 部門別・商品別損益は、どこから手をつければいいですか?

A. すべてを一度に細分化しようとすると挫折しやすいため、まずは売上構成比の大きい事業や商品から区分してみることをおすすめします。経営判断に直結する単位から始めるのがポイントです。


Q. 試算表が翌々月になってしまう場合、どう改善すればいいですか?

A. 経理処理のタイミングや、税理士とのデータ連携方法を見直すことで早められるケースが多いです。完璧な数字である必要はないため、概算でもスピードを優先する運用に切り替えられないか、一度相談してみることをおすすめします。


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