「借りられるだけ借りる」経営はもう古い?|金利上昇時代の資金戦略の見直し方
- 近藤 祐輔

- 2 時間前
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「借りられるだけ借りる」経営はもう古い?
― 金利上昇時代に見直したい資金戦略
「年商1億から5億へ」シリーズ 第4回
はじめに
社長「銀行がお金を貸してくれるなら、借りられるだけ借りておいた方がいい。うちはずっとそう考えてやってきました。実際、コロナのときもそれで助かりましたし。今もその方針、間違ってないですよね?」
近藤 結論から言います。その考え方、もう見直す時期に来ています。
社長「え、そうなんですか。融資に積極的なのは良いことだと、ずっと言われてきたんですが。」
近藤 数年前までは、間違いなく正しい判断でした。超低金利の時代は、資金を厚く持つこと自体が大きな経営メリットだったからです。コロナ禍では多くの企業が制度融資や実質無利子・無担保融資を活用し、その資金が会社を守りました。私自身も、あの時期は「手元資金を厚く持ちましょう」とお伝えしてきました。
でも、今は金利が上がり、人件費や原材料費も高止まりしています。前提となる環境が変わったんです。同じ判断基準のまま借り続けるのは、もう合理的ではありません。
社長「借入自体が悪いってことですか?」
近藤 いいえ、そこは誤解しないでください。借入が悪いという話ではありません。成長企業にとって借入は今も重要な経営手段です。変わったのは、「借りられるかどうか」で判断していい時代が終わった、ということです。これからは「借りるべきかどうか」で判断する。この一点に尽きます。
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第1章 「借りられるだけ借りる」が正しかった時代
近藤 まず整理しておきたいのですが、これまでの判断が間違っていたわけではありません。金利がほぼゼロに近い時代は、借入コストはほとんど気にする必要がありませんでした。むしろ、預金残高が厚いことは大きな安心材料でした。急な設備投資に対応できる、取引先の支払いが遅れても慌てない、銀行からの評価も安定する。だから多くの経営者が積極的に借入を活用してきましたし、それは合理的な経営判断でした。
社長「じゃあ、何が変わったんですか。うちの判断基準自体は変えていないんですが。」
近藤 そこです。判断基準を変えていないこと自体が、今の問題なんです。環境が変わったのに、判断基準だけ昔のままだと、気づかないうちに負担が積み上がっていきます。
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第2章 金利が上がると、「借入コスト」は見えやすくなる
社長「正直、金利が上がったといっても、まだそこまで負担に感じていないんですよね。」
近藤 多くの経営者がそうおっしゃいます。ただ、それは危険な感覚です。金利が低い時代は、「とりあえず借りておく」という判断でも大きな負担にはなりませんでした。しかし金利が上がれば、借入金が増えるほど利息も返済額も増えます。「手元資金を厚く持つ安心」と「借入コスト」のバランスを、意識的に取り直す必要が出てきているんです。
実際にご相談いただいたある小売業の会社では、コロナ禍で借りた資金の一部が、使い道が決まらないまま3年以上預金として積み上がっていました。金利上昇局面に入ったタイミングで一緒に資金計画を見直し、一部を計画的な繰上返済に充て、残りを店舗改装という具体的な投資に振り向けることで整理できました。
社長「うちも、正直似たような状態の資金があるかもしれません・・・。」
近藤 でしたら、断言します。それは一度棚卸しすべきです。借入を減らせばいいという単純な話ではありません。重要なのは、その資金が会社の成長につながっているかどうか。使い道が決まっていない資金は、放置するほど判断が遅れます。
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第3章 「借りる力」と「借りるべき額」は違う
社長「実は最近、銀行から『もう少し借りませんか』と言われることが増えてきて。評価してもらえてるのかな、と思って前向きに考えていたんですが。」
近藤 銀行から評価されている証拠なので、それ自体は良いことです。ただ、ここは絶対に混同しないでください。借りられることと、借りるべきことは別問題です。
銀行が1億円まで融資できると言ったとしても、必ず1億円借りる必要はありません。設備投資に必要なのは5,000万円かもしれない。運転資金として必要なのは3,000万円かもしれない。会社に必要な金額は、銀行が貸せる金額ではなく、会社の事業計画から決まるものです。
社長「言われてみると、『いくらまで借りられるか』を先に聞いてから、使い道を考えていたかもしれません・・・。」
近藤 それは順番が逆です。経営者が考えるべきなのは、「いくら借りられるか」ではなく、「何のために借りるのか」。この順番を間違えると、必要以上の借入を抱えることになります。
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第4章 借入は「守り」のためだけではない
社長「そう聞くと、借入はできるだけ少ない方が安全なのかな、とも思えてきました。」
近藤 それも違います。そこで極端に振れないでください。新しい設備への投資、新規出店、優秀な人材の採用、新しいサービスの開発。こうした投資は将来の利益を生み出すためのものです。そのために借入を活用するのであれば、会社の成長を後押しする大きな力になります。
一方で、「何となく不安だから借りておく」という借入は、本当に必要なのか改めて考える余地があります。借入は目的ではなく、会社を成長させるための手段です。「借りるか、借りないか」の二択ではなく、「何のために借りるのか」を毎回問い直す。これが資金戦略の基本です。
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第5章 これからの資金戦略に必要なこと
社長「じゃあ、うちはまず何から見直せばいいんでしょうか。」
近藤 借入金の残高、返済計画、設備投資の予定、今後の採用計画、利益計画。まずはこれらを一つひとつ並べてみてください。そのうえで、「今の借入は会社の未来につながっているか」を一つずつ確認する。これに尽きます。
資金戦略とは、お金を集めることではありません。会社の未来に合わせて、お金をどう使うかを設計することです。この視点を持てる会社ほど、環境が変わっても安定して成長を続けることができます。
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まとめ
「借りられるだけ借りる」という考え方は、超低金利時代には合理的な選択肢でした。しかし、経営環境が変わった今は、その前提を一度見直す必要があります。
借入は、会社にとって大切な経営手段です。だからこそ、「借りられるかどうか」ではなく、「何のために借りるのか」を基準に判断する。会社の成長に必要な借入は積極的に活用し、目的のない借入は慎重に考える。この切り替えができるかどうかが、これからの時代の経営を左右します。
次回は、「無借金経営」と「実質無借金経営」の違いについて取り上げます。「借金は少ないほど良い」という考え方だけでは見えてこない、会社の安全性の考え方についてお話しします。
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よくあるご質問
Q. 金利が上がっている今、既存の借入を繰上返済すべきですか?
A. 一概には言えません。手元資金の水準や今後の投資計画によって最適な判断は変わります。繰上返済で手元資金が薄くなりすぎると、別のリスクを抱えることにもなるため、資金計画全体の中で検討することをおすすめします。
Q. 借入の適正額はどう判断すればいいですか?
A. 銀行が貸せる金額ではなく、事業計画から積み上げて考えるのが基本です。設備投資額、必要運転資金、返済負担率などを一緒に整理すると、根拠のある金額が見えてきます。
Q. 固定金利と変動金利、今はどちらを選ぶべきですか?
A. 借入の目的や返済期間によって考え方が異なります。長期の設備資金であれば金利上昇リスクを避けるために固定金利を検討する会社も増えていますが、一律の正解があるわけではないため、個別の状況を踏まえて判断することが大切です。
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