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「値上げできない会社」から抜け出す|利益を守る価格戦略の考え方

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 1 日前
  • 読了時間: 6分

「値上げできない会社」から抜け出す

― 利益を守るために経営者が持つべき価格戦略

「年商1億から5億へ」シリーズ 第3回


はじめに


社長「値上げをしたい気持ちはあるんです。でも、お客様が離れてしまうんじゃないかと思うと、なかなか踏み切れなくて。」


近藤 そのお悩みは、本当に多くの経営者からお聞きします。原材料費の高騰、人件費の上昇、物流コストの増加。ここ数年、コストアップに直面している会社がほとんどです。それにもかかわらず、販売価格は以前とほとんど変えられていない、という会社も少なくありません。


社長「競合との価格競争もありますし、長年のお客様への遠慮もあって・・・。営業からも『値上げは難しいです』と言われますし。」


近藤 値上げが簡単ではないのは事実です。ただ、経営という視点で考えると、値上げをしないことにも大きなリスクがあります。会社は売上ではなく、利益で成長します。利益を生み出す力が弱くなれば、設備投資も、人材採用も、社員への還元も難しくなっていきます。

今回は、「値上げできない会社」がなぜ利益を失ってしまうのか、そして価格を経営戦略として考えるための視点についてお話しします。


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第1章 値上げできない会社ほど、利益は少しずつ削られていく


近藤 利益率が悪化する会社は、ある日突然赤字になるわけではありません。少しずつ利益が削られていきます。


人件費が毎年少しずつ上がる。外注費も少しずつ上がる。仕入価格も上がる。それでも販売価格だけは変わらない。この状態が数年続くと、利益率は確実に低下していきます。


社長「うちもまさにそれです。忙しくしているし、社員も頑張ってくれているし、売上も維持できているのに、なぜか利益だけが残らない。」


近藤 それは、決して「売れなくなったこと」が原因ではありません。利益を生み出す力が、少しずつ弱くなっていることが原因です。


実際にご相談いただいたある印刷会社では、5年間、主要な取引先への価格を一度も見直していませんでした。その間に用紙代とインク代は2割近く上昇していたのですが、社長は「昔からのお客様に申し訳ない」という気持ちが先に立ち、価格改定の話を切り出せずにいました。決算書を並べて確認すると、売上はほぼ横ばいなのに、粗利率は5年間で着実に下がり続けていたことが数字として表れていました。


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第2章 「値上げ=お客様が離れる」は本当でしょうか


社長「やっぱり、価格を上げたらお客様が離れてしまう気がするんです。」


近藤 その可能性がゼロとは言いません。ただ、一度立ち止まって考えていただきたいことがあります。社長ご自身が何かを選ぶとき、本当に価格だけで判断していますか?


社長「言われてみると・・・品質や、対応のスピード、担当者への信頼、アフターサービスも見ていますね。」


近藤 そうなんです。実際には、価格以外にも多くの要素で選んでいるはずです。企業間取引であれば、なおさらそうです。価格だけで取引先を決める会社ばかりではありません。


それにもかかわらず、「うちだけは値上げできない」と思い込んでしまう。この思い込みが、利益率を下げる原因になっていることも少なくありません。


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第3章 値上げは「営業」の話ではなく「経営」の話


近藤 値上げというと、営業担当の仕事だと思われがちです。しかし、本来は経営判断です。


社長「経営判断、というと?」


近藤 利益率が低下しているにもかかわらず、価格を据え置き続ける。その結果、利益が減る。利益が減れば、人材採用を控える。設備投資も先送りになる。社員の給与も上げられない。こうして会社全体の競争力が、少しずつ低下していきます。


一方で、適切なタイミングで価格を見直し、利益を確保できている会社は、その利益を未来への投資に回すことができます。人に投資する、設備に投資する、サービスを改善する。結果として、さらに選ばれる会社になっていきます。価格は、利益だけでなく、会社の未来を左右する経営判断なんです。


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第4章 「いくら上げるか」より、「なぜ上げるか」を伝える


社長「値上げをするとして、お客様にはどう伝えればいいんでしょうか。」


近藤 値上げを成功させている会社に共通しているのは、「価格」だけを説明していないことです。品質を維持するため、より良いサービスを提供するため、人材育成に投資するため、お客様へ長く価値を提供し続けるため。こうした理由を丁寧に伝えています。


お客様が理解しているのは、「値段が上がること」ではなく、「これからも安心して任せられる会社であり続けようとしていること」なんです。


社長「なるほど。理由をきちんと伝えるかどうかで、受け取り方が変わりそうですね。」


近藤 もちろん、すべてのお客様に受け入れられるとは限りません。それでも、会社が長く成長していくためには、利益を確保し続けることも経営者の大切な責任です。


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第5章 「利益率」で考える会社は強い


近藤 売上目標だけを追いかけている会社は、忙しくなれば安心してしまいます。一方で、利益率を重視する会社は違います。この仕事は利益が出ているのか。価格は提供価値に見合っているのか。売上が増えても利益率が下がっていないか。こうした視点で経営をしています。


年商5億円を目指す会社になると、売上を伸ばすこと以上に、利益率を維持することの重要性が増していきます。利益率が数%改善するだけで、会社に残るキャッシュは大きく変わります。そのキャッシュが、次の成長への投資につながっていくんです。


価格戦略とは、単に売上を増やすためのものではありません。会社の未来をつくるための戦略でもあります。


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まとめ


値上げは、多くの経営者にとって難しいテーマです。しかし、値上げをしないことにも、大きな経営リスクがあります。コストが上がり続ける中で価格だけを据え置けば、利益率は少しずつ低下していきます。利益が減れば、会社の未来への投資も難しくなります。


だからこそ、価格は「営業の問題」ではなく、「経営の問題」として考える必要があります。価格を決めることは、会社の価値を決めることでもあります。利益を守るためではなく、お客様へ価値を提供し続けるために。そんな視点で価格戦略を考えることが、年商5億円を目指す会社には求められているのではないでしょうか。


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よくあるご質問


Q. 値上げのタイミングはどう判断すればいいですか?

A. コストの上昇分だけでなく、直近数年の利益率の推移を見て判断するのが実務的です。「利益率が下がり続けている」という数字が確認できれば、値上げを検討すべきタイミングが来ていると考えられます。


Q. 値上げ幅はどう決めればいいですか?

A. コスト増加分をそのまま転嫁するだけでなく、確保したい利益率から逆算して決める方法もあります。業種や商材によって適切な考え方が異なるため、自社の原価構造を整理した上で検討することをおすすめします。


Q. 一部のお客様にだけ値上げをするということは可能ですか?

A. 可能です。実際、取引条件や取引量に応じて価格を見直している会社は少なくありません。ただし、説明の一貫性がないと不信感につながることもあるため、判断基準を整理してから進めることが望ましいです。


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