メインバンクとサブバンクの正しい使い分け方|銀行を選べる会社になる方法

更新日:8月21日
メインバンクとサブバンクの正しい使い分け方
― 成長企業が考えたい「銀行を選べる会社」のつくり方
「年商1億から5億へ」シリーズ 第6回
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はじめに
社長「うちは長く付き合っている銀行が1行あるので、他の銀行はあまり必要ないと思っているんです。担当者との関係も良いですし、融資もこれまで問題なく受けられてきましたし。」
近藤 そのお気持ちはよく分かります。ただ、はっきり申し上げます。年商1億円を超え、5億円を目指していく会社であれば、その考え方は一度見直した方がいいです。
社長「え・・・関係が良い銀行が1行あれば、それで十分じゃないんですか?」
近藤 1行との関係を深めること自体は、間違いなく大切です。ただ、その銀行だけに資金調達を依存することには、明確なリスクがあります。だからといって、たくさんの銀行から少しずつ借りればいいという話でもありません。今日は、メインバンクとサブバンクにそれぞれどういう役割を持たせるべきか、その考え方をお話しします。
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第1章 メインバンクは「一番たくさん借りている銀行」ではない
社長「そもそも、うちの場合はメインバンクの定義がよく分かっていないかもしれません。一番借りている銀行、というくらいの認識で。」
近藤 多くの方がそう捉えていますが、私が考えるメインバンクの本当の役割は少し違います。「自社のことを最も理解している銀行」です。
今期の業績だけではありません。会社がどこへ向かおうとしているのか。なぜ今、設備投資をするのか。なぜ人を増やしているのか。来期以降、どのように売上を伸ばそうとしているのか。こうした会社の背景まで理解してもらえているかどうかが重要です。
社長「それは、業績が良ければ自然と伝わるものじゃないんですか?」
近藤 いいえ、そこが誤解されやすいところです。会社が順調なときは、銀行との関係の違いはあまり表面化しません。違いが出るのは、大規模な設備投資をする、新しい拠点をつくる、一時的に利益が落ちる、想定外の資金需要が発生する——そういう大きな意思決定のときです。決算書の数字だけでなく、その背景まで理解したうえで話を聞いてくれる銀行があるかどうかで、対応の速さがまったく変わってきます。
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第2章 それでも、一行だけに依存するのはリスクがある
社長「でも、うちの担当さんはかなり親身になってくれていますし、これからもその関係は続くと思うんですが。」
近藤 断言しますが、それは会社側でコントロールできることではありません。担当者は異動します。支店長も変わります。銀行内部の融資方針が変わることもありますし、業種に対する見方が変わることもあります。今まで積極的に融資してくれていた銀行が、これからも同じ姿勢でいてくれるとは限らないんです。
実際にご相談いただいたある製造業の会社では、10年以上取引していたメインバンクの支店長交代をきっかけに、融資姿勢が急に慎重になったことがありました。設備投資のタイミングで希望額の融資が思うように進まず、その時点で初めて他行に相談したものの、関係がゼロからのスタートだったため、審査に想定以上の時間がかかってしまいました。
社長「それは、うちにも十分起こり得ますね・・・。」
近藤 その通りです。銀行との信頼関係は、資金が必要になってから急につくれるものではありません。だからこそ、会社が順調なときからサブバンクとの関係をつくっておくことが重要になります。
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第3章 サブバンクは「予備の銀行」ではない
社長「サブバンクって、メインバンクが貸してくれなかったときの保険、というイメージだったんですが。」
近藤 それだけでは、正直もったいない考え方です。銀行にはそれぞれ得意分野があります。地域とのつながりが強い銀行、設備資金に積極的な銀行、保証協会付き融資を得意とする銀行、成長企業へのプロパー融資に積極的な銀行。1行ですべてを賄う必要はありません。
例えば、大きな設備投資や長期的な資金調達はメインバンクを中心に相談する。一方で、運転資金や特定の資金需要についてはサブバンクも活用する。そうやって役割を分けていくんです。サブバンクを持つ目的は、メインバンクと競争させることではなく、会社の資金調達に複数の選択肢を持っておくことです。
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第4章 金利だけで銀行を選ばない
社長「金利が上がってきているので、正直、少しでも条件が良い銀行から借りたいという気持ちが強くなっています。」
近藤 その気持ちは自然です。ただ、金利だけで銀行を選ぶことはおすすめしません。ある銀行から他行より少し低い金利を提示されたとして、短期的にはその銀行から借りる方が有利に見えます。しかし、銀行との付き合いは一回の融資で終わるものではありません。
会社の事業を理解してくれるか。資金が必要なときに動いてくれるか。経営計画について相談できるか。長期的に取引を続けられる相手か。こうした要素まで含めて判断する必要があります。数万円、数十万円の金利差だけを理由に借入先を頻繁に変えてしまうと、せっかく築いてきた銀行との関係を弱くしてしまうこともあります。金利は重要ですが、銀行との関係そのものも、会社の財務資産の一つだと考えてください。
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第5章 銀行は多ければ多いほど良いわけではない
社長「じゃあ、取引銀行はできるだけ増やした方が安心なんでしょうか。」
近藤 それも違います。取引銀行が増えすぎると、1行あたりの取引が薄くなります。銀行側から見ても、「自分たちはこの会社にとってどういう位置づけなのか」が分かりにくくなりますし、経営者自身の銀行対応にも時間がかかるようになります。
大切なのは銀行の数ではなく、それぞれの銀行に役割があることです。メインバンクには会社の事業計画や将来像まで共有する。サブバンクにも定期的に決算や業績を説明し、一定の取引を続ける。年商1億円から5億円程度の会社であれば、メインバンク1行に加えて、サブバンク1〜2行程度から考えていくのが一つの目安です。
社長「うちは3行と取引していますが、正直それぞれとの関係性の違いを説明できないかもしれません・・・。」
近藤 でしたら、そこは一度整理した方がいいです。重要なのは「何行あるか」ではなく、なぜその銀行と付き合っているのかを経営者ご自身が説明できることです。
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第6章 銀行との関係は、平時からつくっておくもの
近藤 融資の話になると、「どうすれば銀行から評価されるか」という視点になりがちです。もちろんそれも重要ですが、年商1億円を超え、5億円を目指す会社には、その先まで考えていただきたいと思います。銀行から選ばれる会社であると同時に、会社側も銀行を選べる状態をつくることです。
資金に余裕があるとき、業績が良いとき、会社が順調に成長しているとき。そんなときこそ、銀行との関係をつくるタイミングです。決算が終わったら業績を説明する。今期の計画を共有する。大きな投資を考えているのであれば、実行する前から相談しておく。そうした積み重ねが、実際に資金が必要になったときに「初めて会社の説明をする」のではなく、「以前から話していた計画を実行する」という状態をつくります。この違いは、想像以上に大きいものです。
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まとめ
メインバンクとの関係を深くすることは重要です。しかし、一行だけに資金調達を依存してしまうと、銀行側の方針が変わったときに会社の選択肢がなくなってしまいます。
だからこそ、メインバンクを中心にしながら、サブバンクとも平時から関係をつくっておく。メインバンクには自社を深く理解してもらい、サブバンクには別の選択肢を持つという役割を担ってもらう。そして、金利だけでなく、長期的な関係まで含めて銀行を考える。
会社が成長すれば、必要な資金も大きくなります。だからこそ、資金が必要になってから銀行を探すのではなく、会社が順調な今のうちから、次の成長を支えてくれる銀行との関係をつくっておくことが大切です。
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よくあるご質問
Q. サブバンクは何行くらいが目安ですか?
A. 会社の規模や借入額、業種によって異なりますが、年商1億円から5億円程度の会社であれば、メインバンク1行に加えてサブバンク1〜2行程度が一つの目安です。数を増やすことよりも、それぞれの役割を明確にすることの方が重要です。
Q. サブバンクとの関係は、どうやって作り始めればいいですか?
A. まずは決算報告や事業計画の共有から始めるのが一般的です。融資の依頼から関係を始めるのではなく、業績が良いタイミングで自社を知ってもらうところからスタートすると、いざというときに動いてもらいやすくなります。
Q. 今の取引銀行との関係を整理したい場合、何から確認すればいいですか?
A. まずは各行との取引の経緯と、それぞれに期待している役割を書き出してみることをおすすめします。役割が重複している、あるいは説明できない取引があれば、整理を検討するタイミングかもしれません。
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