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金融機関が決算書で見るポイントとは?|融資審査で評価される5つの視点を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年6月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:3 日前

結論:金融機関は、決算書の「黒字・赤字」だけで融資判断をしていません。


実際には、利益の安定性、資産の健全性、借入金の返済能力、営業キャッシュフロー、そして決算の信頼性を総合的に見ています。

この記事では、金融機関が決算書のどこを見ているのか、融資審査で評価されるポイントと、評価を下げる決算の特徴を税理士の視点からわかりやすく解説します。



はじめに


「うちは黒字決算だし、問題ないはずです」

「利益が出ているのに、融資が通らなかったのはなぜ・・・?」

このような相談をよく受けますが、実は金融機関は単に「黒字かどうか」だけを見ていません。

決算書には、利益・資金繰り・財務健全性など多くの情報が含まれており、銀行は“5つの視点”で総合的に読み取っています。



1. 金融機関が決算書で見る「5つの評価視点」

項目

チェックされる内容

評価ポイント

① 損益状況(PL)

売上・利益の安定性/成長性

毎期黒字か/利益率は?

② 資産の健全性(BS)

売掛金・在庫・固定資産の妥当性

過大計上がないか?

③ 負債の構成(BS)

借入金の水準/返済能力

自己資本比率/長短バランス

④ キャッシュフロー

営業活動による現金収支

利益≠現金 → 回収力を重視

⑤ 計上の信頼性

経費の水増しや利益操作の有無

税理士関与/粉飾リスクの排除

📌 金融機関の目は「将来返済できるか」という“安全性と再現性”を中心に決算書を読みます



2. 損益計算書(PL)の見方と改善ポイント


見られるポイント

  • 毎年の売上高と利益の推移

  • 売上総利益率(粗利率)や営業利益率

  • 突発的な赤字や経費急増の原因


よくあるNGと改善策

NG決算

銀行の印象

改善のヒント

最終利益がマイナス

返済余力に不安

月次で黒字化計画を立てて説明

売上は増えたが利益率が下がっている

採算管理が甘い

原価と販売価格の見直しを説明

人件費・交際費が突出

コスト管理不足

試算表での費用分析と再計画の提示

📝 営業利益が安定して黒字であれば、「事業体力がある」と判断されやすくなります



3. 貸借対照表(BS)の見方と改善ポイント


見られるポイント

  • 資産の中身(現金・売掛金・在庫・設備)の健全性

  • 負債の内訳(借入金の構成/返済スケジュール)

  • 自己資本比率や債務超過の有無


よくあるNGと改善策

NG決算

銀行の印象

改善のヒント

売掛金が過大

回収に不安/架空計上の疑い

回収サイト・入金管理体制の明示

借入金ばかりで自己資本が少ない

財務基盤が弱い

留保戦略や増資検討も併せて説明

設備が多いが減価償却が追いついていない

実態が見えない

定期的な資産見直しを実施

📌 金融機関は「資産の内容」と「資本の構造」から、事業の継続性を評価します



4. キャッシュフローと金融機関の目線


「利益が出ているのに、現金が足りない」この状態では、銀行からの評価は低くなります。


見られるポイント

  • 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)がプラスか

  • 売掛・在庫の増減と連動しているか

  • 借入金の返済能力(DSCR)に無理がないか


📌 営業CFがマイナスの年が続くと、「事業のキャッシュ創出力がない」と判断されます


【金融機関が本当に見ているもの】


営業利益

+ 減価償却費

- 法人税等

± 運転資金の増減(売掛金・在庫・買掛金など)

────────────────────────

= 営業キャッシュフロー(返済原資)

 ⇒ この返済原資で、年間返済額を無理なく支払えるかを銀行は見ています。


【返済能力の目安(DSCR)】


DSCR = 返済原資 ÷ 年間返済額


・1.5倍以上 → 安全(銀行評価◎)

・1.2倍前後 → 一般的

・1.0倍以下 → 危険(返済余力なし)



5. 決算書の「信頼性」も重要


金融機関は、次のような観点から決算の信頼性を評価します。

  • 税理士関与の有無(顧問税理士あり=信頼性高)

  • 「節税目的の赤字」が疑われる場合は、その背景説明が必要

  • 経費のバランスや勘定科目の使い方(雑費・交際費が多すぎると疑念)


📝 “見せる決算”を作るためには、会計方針と経営方針のすり合わせが必要です



6. 実際に行うべき改善アクション

アクション

内容

月次試算表の整備

金融機関に対して「決算後」も最新情報を提示できる

売掛金管理表の導入

回収状況の見える化と説明が可能になる

借入金一覧・返済計画表の作成

借換や借入申請時に即座に資料提出できる

利益計画と資金繰り表の作成

「どう利益を残すか」「どう返済するか」が説明可能に



7. まとめ:「決算書を出す」から「決算書を伝える」へ


金融機関が決算書を見る目的は、「この会社に融資しても返してもらえるか」を判断することです。

そのため、黒字かどうかだけでなく、利益の安定性、資産の健全性、返済能力、営業キャッシュフロー、そして決算の信頼性を総合的に見ています。

融資に強い会社は、決算書を作るだけでなく、「なぜこの数字になったのか」「今後どう改善するのか」まで説明できる会社です。



銀行対応や融資審査は、決算書の数字だけでなく「どう説明するか」も重要です。

「黒字なのに銀行の反応が弱い」

「融資を受けやすい決算書にしたい」

「銀行にどう説明すればいいか分からない」

このようなお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。

▶お問い合わせはこちらから ⇒(Web / LINE



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