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粗利率と限界利益率の違いと改善方法~経営判断に役立つ「利益率」の本質と改善策~

  • yusukekondo9
  • 11月4日
  • 読了時間: 3分

はじめに|「粗利率が高い=儲かる会社」とは限らない?


「うちは粗利率が40%だから、そこそこ良い方だと思う」「限界利益って粗利とどう違うの?」

経営者の方からよくいただくご質問です。

実は、「粗利率」と「限界利益率」は似て非なるものであり、使いどころも改善の方向性も異なります

特に、年商数億円を目指す成長企業では、限界利益率を理解してこそ、戦略的な経営判断が可能になります。



1. 粗利率と限界利益率の定義

指標

計算式

意味

粗利率(売上総利益率)

(売上高 − 売上原価) ÷ 売上高

商品・サービスの「仕入れに対する儲け」

限界利益率

(売上高 − 変動費) ÷ 売上高

売上が1円増えたときに残る利益(貢献度)

✅ 主な違い:

  • 粗利率は「売上原価」だけを対象

  • 限界利益率は「変動費」全体が対象(売上に比例して変わるすべてのコスト)


つまり、販売手数料、運送費、外注費、販売促進費などが変動費であれば、粗利には含まれず、限界利益に影響します。



2. なぜ限界利益率の方が経営判断に使えるのか?


粗利率はあくまで「モノを売ったときの利益率」ですが、限界利益率は1円売上が増えたときに何円手元に残るかを示す、より実務的な指標です。


特に、以下のようなシーンでは限界利益率の方が適しています:

シーン

判断基準

販売価格を下げても利益が出るか?

限界利益率で判断

広告費や人件費をかけても回収できるか?

限界利益率で判断

営業活動の採算性

限界利益ベースでKPIを設定

📌「限界利益 ≒ 固定費+利益」になるため、損益分岐点分析のベースにもなります



3. それぞれの利益率の改善方法


● 粗利率の改善策

施策

内容

仕入先の見直し

単価交渉・仕入先変更によるコストダウン

商品ミックスの改善

粗利率の高い商品・サービスを中心に販売強化

値上げ交渉

値上げによる粗利率改善(付加価値の訴求がカギ)

📌 ただし、粗利率だけを上げようとすると販売数量が落ちるリスクもあるため、注意が必要です


● 限界利益率の改善策

施策

内容

販売手数料の見直し

ECモールや代理店への手数料率の交渉

運送費・外注費の管理

変動費の単価管理・内製化などの検討

変動人件費の適正化

成果報酬や歩合制の見直しによるコストコントロール

📌 限界利益率を高めると、広告費や人件費をかける「攻めの経営」がしやすくなります



4. 限界利益率を活用した経営判断の例


例:売上5,000万円、限界利益率40%、固定費1,800万円の場合

  • 限界利益:5,000万円 × 40% = 2,000万円

  • 営業利益:2,000万円 − 1,800万円 = 200万円(黒字)


👉 もし限界利益率が35%に下がると…

  • 限界利益:5,000万円 × 35% = 1,750万円

  • 営業利益:▲50万円(赤字)


📌 限界利益率の1%の差が、黒字・赤字を分けることになります



5. 限界利益率を“見える化”するために


経営判断に使えるようにするには、まず「限界利益率」を把握することが大切です。


✅ 見える化の手順:

  1. 変動費(売上に比例して増減する費用)を仕訳帳からピックアップ

  2. 売上と変動費を月次で管理(Excel or 会計ソフト)

  3. 限界利益率をKPIとして継続モニタリング

  4. 年間・月間の損益分岐点を把握

  5. 改善活動(商品ミックス・価格戦略・手数料交渉など)を検討



まとめ|数字を「構造」で捉えると、利益改善の打ち手が見える

項目

粗利率

限界利益率

対象コスト

売上原価

変動費全体

使いどころ

商品別利益・販売戦略

経営判断・採算性分析

改善策

仕入・原価の見直し

販売コスト・手数料見直し

損益分岐点との関係

間接的

直接的(KPIになる)

「売上が増えても利益が出ない」原因の多くは、限界利益率の低さにあります。

限界利益率を把握し、粗利率とセットで活用することで、「儲けの構造」が明確になり、経営判断の精度が格段に上がります。



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