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損金・益金とは?|会計の費用・収益と税務がズレる理由を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 近藤 祐輔
    近藤 祐輔
  • 2025年8月27日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月30日

結論:損金・益金は、会計上の費用・収益と似ていますが、まったく同じではありません。


会計では費用でも、税務では損金にならないものがあり、逆に会計上の利益と税務上の所得も一致しません。

この記事では、損金・益金の基本的な考え方と、会計と税務がズレる理由を税理士の視点からわかりやすく解説します。



はじめに


法人税の計算においては、「損金」「益金」という言葉が頻出します。これらは会計上の「費用」「収益」と似ているようで、本質的に別物です。

「損金・益金とは何か?」「会計と何が違うのか?」「どんなときにズレが生じるのか?」「なぜ同じ会社の数字なのに税金計算でズレるのか?」という疑問にも具体例で答えます。



I.「損金」と「費用」は違う?


まず押さえておきたいのは、損金 ≠ 会計上の費用という事実です。

用語

定義

使用場面

費用

会計基準に従って、収益との対応をもとに記録されるもの

決算書(P/L)上

損金

法人税法に基づき、「課税所得を計算するために控除できる金額」

税務申告書(別表四)上

つまり、会計では費用として処理されていても、税務上は「損金と認められない」ことがあります。この違いこそが、「会計と税務のズレ」や「法人税額の予想外の増減」の原因なのです。



II. 「益金」と「収益」の違いも同様


益金もまた、会計上の「収益」とは異なる概念です。

用語

定義

収益

商品販売などによる売上など(発生主義)

売上高、受取利息

益金

課税対象となる経済的利益

売上、受取配当金、雑収入など(現金主義に近い)

会計では売上を計上していても、税務上はまだ益金とされないこともあります。



III. よくある「損金にならない費用」の実例

費用の内容

会計上の扱い

税務上の扱い

理由・注意点

交際費

費用として計上

損金算入に上限あり(中小企業800万円まで)

上限超過分は加算

減価償却費

任意償却可能

法定耐用年数・償却率に従う

超過償却は加算対象

引当金(賞与、退職給付等)

会計処理可

原則損金不算入(条件あり)

確定要件が必要

寄附金

全額費用計上

一部しか損金算入できない

上限を超えると加算

役員給与

経常費用

事前届出がなければ損金否認

「事前確定届出給与」が必要

社長個人の経費

会社経費として処理

私的支出とみなされると否認

税務調査で指摘されやすい

✅ ポイント:「会計上OK=法人税計算でもOK」とは限らない。税法のルールを別途確認する必要があるのです。



IV. 会計と税務がズレる理由


この違いは、会計と税務の目的の違いに起因しています。

観点

会計

税務

目的

利害関係者への正確な業績報告

公平で確実な課税

タイミング

発生主義

現金主義に近い原則あり

基準

会計基準(企業会計原則)

法人税法・通達

税務は、「課税ルールを厳格に適用して脱税を防ぐ」という目的のため、会計よりも保守的で厳しい面があります。



V. 実務における対応方法


経営者として、以下のような姿勢が大切です:

  1. 会計上の費用が全て損金になるとは思わないこと

  2. 税務上の損金・益金調整は、必ず顧問税理士と確認すること

  3. 節税だけでなく、銀行評価・経営判断とのバランスをとること


税務調整の内容は、法人税申告書の「別表四」「別表五」で確認できます。経営者として概要だけでも把握しておくと、税理士とのコミュニケーションがスムーズになります。



まとめ


損金・益金は、会計上の費用・収益と似ていますが、税務では別のルールで判断されます。

そのため、会計で費用になっていても税務では損金にならないものがあり、決算書の利益と課税所得は一致しません。

このズレは、別表四で加算・減算することで調整されます。

また、銀行は税務上の損金・益金の考え方そのものよりも、その調整後に会社へどれだけキャッシュが残るかを見ています。

そのため、損金になるかどうかは、税金の問題であると同時に、資金繰りや銀行評価にもつながります。



税務と会計の違いを理解することは、税金対策だけでなく、資金繰りや財務戦略にもつながります。

「利益は抑えているのに税金が高い理由が分からない」

「どの費用が損金になるのか整理したい」

このようなお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。

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